解体進む九段下ビル 壁画や建具、保存へ
2012/02/08 12:46更新
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関東大震災の復興建築として建てられ、解体が迫っていた通称「九段下ビル」(東京都千代田区)で、壁画や建具が保存されることになった。今年初め、最後の住人が立ち退きに応じ、本格的な取り壊しが開始。解体を惜しむ人たちは「金を出しても手に入らないものを残したい」と新たな活用を考えている。(産経デジタル 城野崇)
80年以上、都心に建っていたビルの解体が迫っていた昨年末、ビル内のギャラリーで「さよなら九段下ビル」と題した若手芸術家の展覧会が行われた。
訪れた新進のフランス人画家、ピラトさんが「日本のイメージで絵を描きたい」と申し出、コンクリート作りのビル屋上の壁に巨大な絵を仕上げた。縦2メートル、横6メートルの日の丸に、日本のイメージと最後の住人の画家、大西信之さん(55)の笑顔を描いた迫力ある壁画だ。
大西さんの立ち退きで1月、解体が急ピッチで進む中、大西さんは壁画の保存を解体業者に打診してみた。すると、現場責任者の男性は「壁面はもろいモルタルで、おそらく壊れる」と話しながらも、日の丸の中心部分を見事に切り抜いてくれた。大西さんは「2.3トンもある壁画を残してくれて、信じられない気分。ビルがすべてなくなってしまわなくてうれしい」と話す。壁画は栃木県に運ばれ、今後、美術館での展示を模索する。
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記事本文の続き また、解体の際に出たビルの建具などを譲り渡す「形見分け」も行われ、解体を惜しむファンが詰めかけた。
目黒区に設計事務所を構える建築家、三浦丈典さん(38)は、ビル内部の木製の扉や窓を引き取った。「レトロな形のドアノブや蝶番など、お金を出しても手に入らないものばかり。アンティーク調に加工された建具はあるが、本物の時間には勝てない」と惚れ込む。
事務所に併設された多目的スペースの改築で活用する予定で、「子供向けのワークショップなどの際に、建具だけでも九段下ビルを見てもらえる」と期待している。
「九段下ビル」とペンキで大書きされたブリキの看板を譲り受けたのは、仕事でビルの前を通り続けてきた神奈川県相模原市の自営業、古木隆光さん(44)。看板は古く、文字がはがれかけた状態だが、古木さんは「もっとも九段下ビルらしい品。大切に保管して将来、ビルを知る人が集まる機会があれば持って行ってしのびたい」と話した。
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