“高架下”建築めぐるツアー…窮屈感がたまらない?
2009/03/21 22:20更新
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無骨なコンクリート製の高架下に窮屈そうに並ぶ住宅や店舗…。そんな高架下建築を愛でる人の輪が広がっている。鑑賞ツアーは盛況で、全国の“名所”を紹介する写真集も発売された。工場やダムのような圧倒的なスケールはない。何が人を高架下鑑賞へと誘うのか?(海老沢類)
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記事本文の続き 先月のとある土曜日。JR総武線浅草橋駅に、50人を超す人がカメラ片手に集まった。20~30代が中心で、男女比はほぼ半々。ネット上の交流をきっかけに企画された「高架下建築鑑賞ツアー」の参加者だ。この日のルートは浅草橋から神田を経て有楽町・新橋に至る約5キロ。住宅や倉庫、電気街など、バラエティーに富んだ鑑賞スポットを4時間以上かけて歩いた。
埼玉県から来た会社員、高橋碧さん(25)は「建物の独特の形や古びた感じが面白い」。「交通インフラと合体することで家の魅力が数倍アップする。散歩道を変える力がありますね」。こう話すのはグラフィックデザイナーの小林良さん(41)。
ツアーを呼びかけたライター、大山顕さん(36)は工場や団地鑑賞ブームの火付け役としても知られる。高架下建築を鑑賞し始めたのは5年ほど前。浅草橋駅周辺で目にした光景に、場所の制約が生む独特の造形美を感じたからだ。
「高架自体は鉄道用に設計されたものだから、その下に“間借り”する建物は天井が低かったり、間口が妙に狭かったり…通常の建築の論理とは違う中途半端な感じにぐっときた。それが過密都市に生きる人のしたたかさそのものだと思うんです」。全国各地の高架下写真をネット上で公開すると、趣味を共有する人たちの“告白”が殺到。今月5日には、首都圏と関西で出会った高架下風景を収めた写真集『高架下建築』(洋泉社)を刊行した。
大山さんは「建物が高架下にはまりこんでいるので鑑賞は基本的に正面から。立体的な建物なのに、額縁に入った画のように見えるのも面白い」と話す。
ただ、高架下にある建物は、終戦直後から高度経済成長期にかけてつくられたケースが多く、老朽化が進んでいるのも事実。高架下建築ファンで、景観デザインが専門の千葉大大学院工学研究科助教の八馬(はちま)智さん(39)は「耐震補強工事に伴い取り壊し中の物件も多く、だんだん消えていく方向にはある」と話す。
「今見ておかないと、風景がガラッと変わる可能性がある」(大山さん)ことも鑑賞へと駆り立てる。懐かしくもあり、造形美も堪能できる懐の深い対象だけに、意外と息の長いブームになるかもしれない。
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