裸の思い残す 妊娠・闘病…30代女性がヌード撮影を依頼するワケ
2009/11/11 14:13更新
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裸でベッドに座る、乳がんの手術を控えた女性。一糸まとわぬ姿で臨月の大きなおなかを幸せそうに見つめる女性-。自分の裸の撮影をカメラマンに依頼する30代女性が増えている。「今のリアルな姿を写真で残したい」が彼女たちの思いだ。(道丸摩耶)
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記事本文の続き ◆「子供に見せたい」
今月、第一子を出産した主婦、青木英子さん(33)は10月初旬、マタニティー・ベビー専用の写真スタジオ「navel(ネーブル)」(東京都世田谷区)でマタニティーヌードの撮影に挑んだ。「記念になるし、赤ちゃんへの思いが残せる。裸になることに、あまり抵抗はなかった」
照明を落とした室内で、カメラマンの早野知子さん(31)がシャッターを切る。胸やお尻を見せることに抵抗があった女性も、撮られていくうちに脱いでいくことが多い。スタジオを立ち上げた高田奈付子さん(29)は「不安や楽しみなど変化が大きい妊娠中の思いを残すツールがほしかった」と話す。
今夏、歌手のhitomiさん(33)のマタニティーヌードがメディアで肯定的に取り上げられると、月数件だった撮影依頼は月80件ほどに急増。妊婦の平均年齢は34歳前後で、「今しか撮れない」「将来、子供に見せたい」と撮影を希望するという。
◆ガーリーフォト世代
裸の撮影を依頼するのは妊婦だけではない。
先月、乳がんで乳房を切除した30代の女性をとらえた写真集「その咲きにあるもの」(河出書房新社)が出版された。カメラマンは宮下マキさん(34)。被写体は子育て中の主婦、「洋子」だ。
「手術前のきれいな乳房を撮ってほしい」との依頼をきっかけに、宮下さんは術後も彼女を追い続けた。乳がんの女性からの依頼は初めてだったが、「なくなってしまうものを覚えておきたい」との気持ちは理解できた。過激さや悲惨さではなく、等身大の「洋子」を伝えたかったという。
撮る側も撮られる側も30代の女性たちは不況下で学生から社会人になり、プリクラやデジカメなど写真に親しんできた世代だ。
同世代の宮下さんは「10年くらい前、HIROMIXに代表されるガーリーフォトがはやった。当時、セルフヌードを撮っていた女性が30代になり、マタニティーヌードを撮っているのではないか」と分析する。
彼女たちには「見せたい」という自己顕示欲や悲壮な決意はない。
写真評論家の飯沢耕太郎さん(55)は「人生の記念日は誕生日や結婚式だけじゃない。これまでネガティブにとらえられていた妊娠やがんも自分の体にやってくる特別なできごと。輝いている瞬間を残したいというのは当たり前の感情」と話している。
◇
【用語解説】ガーリーフォト
1990年代にブームになった、20歳前後の女の子たちが撮影した日常的な写真。代表的なカメラマンはHIROMIX、蜷川実花、長島有里枝ら。95年ごろをピークに、コンパクトカメラやレンズ付きフィルム(使い捨てカメラ)の普及で、カメラを持ち歩いて気軽に自分たちの「日常」を撮影することが流行。自分自身を被写体とした「セルフポートレート」や「セルフヌード」も多い。2000年代に入りブームは終わったが、飯沢耕太郎さんは「バブル崩壊後の閉塞(へいそく)感漂う時代、カメラの世界を引っ張ってきたのはずっと女性だった」と話している。
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