金正男氏殺害1年 北追及・殺意立証に壁 真相解明は難航

 【シンガポール=吉村英輝】マレーシアの国際空港で、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の異母兄、金正男(ジョンナム)氏が殺害されてから、13日で1年となる。実行犯の女2人が殺人罪で起訴され公判中だが、2人は無罪を主張。指示役とされる4容疑者ら関与した北朝鮮国籍者が逃亡や帰国し、事件の真相解明は難航している。あいまいな幕引きで残忍な犯行の記憶が風化すれば、北の思惑通りとなる。

■いたずら番組

 マレーシアの首都クアラルンプール郊外の高等裁判所で先月30日、検察側証人として出廷した警察官の証言は、弁護側の反対尋問を受け、インドネシア国籍のシティ・アイシャ被告(26)が「いたずら番組に出演していると思っていた」とする殺意否定の主張を逆に裏付ける格好となった。

 シティ被告が、北朝鮮工作員で勧誘役とみられるリ・ジウ(自称ジェームス)氏と知り合ったのは、昨年1月未明のナイトクラブ。2人を引き合わせたタクシー運転手は、ショッピングモールでの「いたずら」の練習にも同行。同被告は、リ氏から受け取った400リンギット(約1万1000円)から、100リンギットを運転手に渡していた、と認めた。

 世界を震撼させた事件の公判の行方は、マレーシア当局の面目に関わる。検察側は昨年10月から30人以上の証人を呼び、尋問は来月以降も続く見通し。だが、シティ被告とベトナム国籍のドアン・ティ・フオン被告(29)が共謀して猛毒の神経剤VXを素手で正男氏の顔に塗りつけたとする手口を含め、決定的な殺意立証には至っていない。

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