イラン・サウジ、関係が急速に悪化 レバノン、イエメン…中東巻き込む新たな紛争懸念も

 【カイロ=佐藤貴生】イスラム教シーア派の大国イランと、スンニ派の大国サウジアラビアの関係が急速に悪化している。イスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」(IS)などとの戦闘をへて、シリアやイラクで影響力を広げたイランに対し、サウジが中東の覇権を目指して巻き返しに出たとの観測もある。中東の多くの国を巻き込んだ争いの深刻化で、新たな紛争を懸念する声も出ている。

 ■辞意表明の波紋

 両国の新たな対立の舞台と指摘されるのが、レバノンとイエメンだ。レバノンのハリリ首相は4日、サウジで突然、辞意を表明し、異例の事態だとして欧米メディアも大きく報じた。ハリリ氏はレバノンのシーア派民兵組織ヒズボラが、シリアなど中東地域に兵器を送っているとして名指しで非難。自らが暗殺される危険もあると述べた。

 ハリリ氏と親密な関係にあるサウジは、同氏が内閣を率いる立場にあるにもかかわらず、イランの影響下にあるヒズボラの勢力拡大を封じる手段を取らなかったことに業を煮やし、自国に呼びつけて辞任を迫った-といった観測が出ている。

 マクロン仏大統領が9日、サウジ入りして調停を行ったが、ハリリ氏はサウジで足止めされているもよう。ティラーソン米国務長官もレバノンの国家主権を侵害しないよう求めるなど、懸念が強まっている。

 一方、ハリリ氏の辞意表明直後の4日には、サウジの首都リヤドにイエメンから弾道ミサイルが発射され、サウジ軍が迎撃する事件が起きた。

 ミサイルを発射したのは、イランが後ろ盾とされ、サウジが空爆などで攻撃してきたイエメンのシーア派武装勢力「フーシ派」だ。サウジは背後にイランがいるとして「戦争行為だ」と非難、「敵対行動に応酬する権利がある」と強調した。

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