肩すかしのトランプ演説 ビジネス偏重 安保でツケも

 【北京=黒瀬悦成】トランプ米大統領が10日、APEC関連会合で行った「インド太平洋演説」は、「一帯一路」構想などを軸に周辺諸国への影響力を拡大する中国に対抗する形でトランプ政権が新たな「アジア関与」の戦略構想を発表すると期待された。ところがふたを開けてみれば、演説の大半は経済・貿易問題に割かれるなど「ビジネス偏重」が目立ち、中国の膨張政策の脅威にさらされ続けている東南アジア諸国の失望を招くのは必至だ。

 「われわれは、開かれた海上航路を含め、航行と上空通過の自由を守らなくてはならない」

 トランプ氏は演説でこう述べ、中国による南シナ海での人口島の造成と軍事拠点化の動きを牽制(けんせい)した。

 しかしトランプ氏は中国を名指しもしなければ南シナ海という地域も特定しなかった。しかも、同氏が東南アジアの安全保障に言及したのは、実質的にこの一言だけだ。

 代わりに中国の習近平国家主席に関しては、9日の北京での会談は「本当に生産的だった」などと主張。米国内外の有識者などからは、オバマ前政権に比べて南シナ海での「航行の自由」作戦への積極姿勢を示すトランプ政権が、南シナ海情勢の打開に向けてどのような構想を示すかが注目されただけに、演説は完全な肩すかしに終わった。

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