貫いた「欧州の平和」への信念 コール元独首相死去

 ドイツのヘルムート・コール元首相は「ベルリンの壁」の崩壊後、誰もが予期せぬスピードでドイツ統一を実現させ、欧州統合を大きく前進させた。その行動に一貫するのは「欧州の平和」への強い信念。氏の功績なしに今のドイツも欧州もありえない。

 「歴史的な時が許すならば、私の目標が統一であることに変わりはない」

 1989年12月19日、コール氏が旧東独ドレスデンで行った演説は「歴史的」と評される。同時に本人にとっては「人生で最も困難な演説」だった。壁崩壊からまだ1カ月余り。その言葉がドイツ統一をめぐる当時の難しい状況を物語る。

 2度の大戦を招いたドイツの記憶が残る英仏などは統一を警戒。一方、初の東独公式訪問となったドレスデンでコール氏を数万人の市民が迎えた。

 コール氏は数年かけた統一を描いたが、早期統一へと動きを加速させた。「この道を歩めたのは(旧東独の)数万の人のおかげ」。2014年12月、演説25年記念式典でそう語った。

 若くから保守系、キリスト教民主同盟で頭角を現し、多くの人が非現実的と考えていた統一を常に諦めてなかった。戦後、旧西独を北大西洋条約機構(NATO)、欧州統合に組み込んだアデナウアー元首相を信奉、ドイツの平和は米欧とともにしかないとも信じた。統一を果たせたのは、この信念があったからだ。

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