韓国が見捨てられればうまくいく? 文在寅大統領と付き合う心構えとは…

 それでも盧政権は対日関係改善に動かなかった。チャ氏の議論とは矛盾する。対韓外交に携わった経験もある外務省幹部は「チャ氏の議論は、韓国が日米以外に外交の選択肢がなかった時代を前提にしている。国交を樹立した中国が大国として台頭したことにより、状況は変わった」と指摘する。

 盧政権は対中接近を進めた政権としても記憶されている。北朝鮮の核問題をめぐる6カ国協議では、核計画の即時廃棄を求める米国に対し、韓国は中国とともに段階的な措置を求めた。日本との歴史問題でも中国と共同歩調を取って攻勢を強め、中国との自由貿易協定(FTA)交渉も開始した。

 中国は朝鮮戦争で北朝鮮側に立って戦った韓国の旧敵国だ。とはいえ、米国から「見捨てられる恐怖」を感じた韓国が、北朝鮮に影響力を持つ経済・軍事大国である中国に接近することで、自国の安全を確保しようとする力学が働く。

 自国では対処できないほど隣国の国力が増大したり、大きな脅威となったりした場合、国家は大きく分けて2つの選択肢を持つ。1つが軍備増強や同盟形成により隣国に対峙する「バランシング(対抗)」であり、いま1つは隣国にすり寄ることで安全を確保する「バンドワゴニング(追従)」だ。

 盧政権だけでなく、朴槿恵政権もバンドワゴニングを追求しているように見えた。とはいえ、バンドワゴニングを選択するのは、まれな現象であるとの見方が識者の大勢だ。

 国際政治学の大家ケネス・ウォルツ氏(1924~2013年)は『国際政治の理論』で「指導的地位をめぐる競争においては、バランシングが理にかなった行動となる。なぜなら、ある連合が勝利すると、勝った連合の中の(バンドワゴニングした)弱い方の構成国は強大な構成国のなすがままになってしまうからである」と指摘している。

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