【外信コラム】音楽の政治利用、ロシアは孤立の道

 5月に開催される欧州最大の音楽祭典「ユーロビジョン」に、今年もロシア問題が影を落とすことになった。ロシアが今年、自国代表として送り込もうとした女性歌手、サモイロワさん(28)について、開催国のウクライナが入国禁止を決め、両国が非難合戦を展開しているのだ。

 入国禁止措置は、サモイロワさんが2015年6月、ウクライナの許可を得ずに、ロシアが不法占拠するクリミア半島でコンサートを行ったことによる。彼女は身体障害のために車椅子を使用する歌手で、ロシアは「障害者差別だ」との趣旨でも猛反発している。

 しかし、ロシアの行動が当初から「意図的な挑発だった」との見方が国内にもある。他の参加国と違い、今年のロシアは「無投票」の不自然な形で代表を決めた。ウクライナの法律が無許可でのクリミア入域を禁じているのも分かっていただろう-というのだ。

 昨年の同音楽祭では、クリミア半島の先住民族、クリミア・タタール人の女性歌手がウクライナ代表として優勝、ロシアは「政治的評価だ」と批判した。

 ABBA(アバ)やセリーヌ・ディオンさんも輩出したユーロビジョンは、旧ソ連圏も含む「広い欧州」を結びつける数少ない文化行事だ。ロシアは、自らの行為によってここでも孤立への道を歩んでいる。(遠藤良介「赤の広場で」)

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