中国・天津市の事実上トップが失脚 習近平氏側近で初 忠誠競争に先鞭付けたはずが…

 【北京=矢板明夫】中国共産党の主流派幹部で、習近平国家主席に近い黄興国・天津市委代理書記兼市長が10日夜、「重大な規律違反」の疑いで党の規律部門に連行された。習指導部は反腐敗キャンペーンで多くの大物政治家を摘発したが、その多くは江沢民・元国家主席や胡錦濤・前国家主席ら非主流派につながる人物だった。習氏の側近の失脚は初めてで、党関係者の間に大きな波紋が広がっている。

 党関係者によれば、習氏は約2年間空席だった天津市党委書記に黄氏を据えようと党内で根回ししたが、実績不足の上、天津市では昨年8月、化学物質の保管施設で爆発事故が発生。170人以上の犠牲者を出した責任を問う声が消えず、実現しなかったという。

 黄氏は、2002年に浙江省トップの党委書記に就任した習氏に同省で直接仕えた部下に当たり、「親衛隊長」と目される4人のうちの1人に数えられていた。天津市への転出後も習氏と蜜月関係が続いた。

 黄氏は今年1月には、「習総書記という核心を断固守る」と発言。習氏を「核心」と呼ぶこの表現が各地の地方指導者の間でも広まるなど、習氏への「忠誠競争」に先鞭(せんべん)をつけた形となっていた。

 黄氏は9日、「教師の日」を祝うため天津市内の学校を訪れ、教師代表らと会談した後、天津を訪問中の台湾の国民党の胡志強副主席とも会談した。10日付の地元紙も黄氏の動向を大きく伝えていた。

 これまでの摘発例では、中国当局が米国に本部を置く中国語サイトや香港紙などに、「汚職疑惑」などの噂を事前に何度も流して反応をうかがうのが普通だった。今回はそうした予兆がまったくなかったことも、党内の動揺を誘う一因となっている。

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