まもなく任期を迎える台湾・馬英九総統が、南沙諸島・太平島を訪問したのはなぜなのか?

 【中国軍事情勢】

 台湾の馬英九総統は1月28日、南シナ海のスプラトリー(南沙)諸島で実効支配する太平島を訪問、駐留する海岸巡防署(海上保安庁に相当)の署員らを慰問した。米国が「失望」を表明する中、あえて訪問した太平島にはどんな戦略的な価値があるのか。(台北 田中靖人)

 ■フィリピンの裁判は「口実」か

 馬総統は28日、C130輸送機を利用し日帰りで太平島を訪問。夜には台北市内の松山空軍基地に戻り、内外メディア向けの記者会見を開いた。馬総統は、フィリピンが常設仲裁裁判所(オランダ・ハーグ)で同島を「岩礁」と主張していると批判した上で、自ら訪問して内外に島だと示す必要があったと強調。同島で国際会議を開く構想も披露した。

 地域の緊張を高めかねない行動に、米国が「失望」を表明していたことを受け、海外メディアからは厳しい質問が相次いだ。だが、馬総統は「米国とわれわれは大きな方向は一致している」と反論。ベトナムやフィリピンが抗議しているという指摘にも「様子を見る必要がある」と受け流した。

 国際法上、太平島が「島」であることは常識の部類に属するため、馬総統がフィリピンの主張を挙げたのは、口実だった可能性が高い。2008年2月には民主進歩党の陳水扁総統(当時)が総統として初めて太平島を訪問しており、馬総統も5月の任期終了前に、史上2人目として実績を残したかったというのが大勢の見方だ。また、台湾は南シナ海のほぼ全域の島嶼(とうしょ)とその周辺海域の領有権を主張しており、その主張を改めて宣伝する狙いもあった。

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