モスクワの巨大像計画にユネスコ「待った!」 クレムリンの世界遺産取り消し危機

 【モスクワ=遠藤良介】ロシア中世のキエフ公国でギリシャ正教を受容した為政者、ウラジーミル聖公の銅像(高さ24メートル)がモスクワのクレムリン付近に建立されることになり、計画見直しを求める国連教育科学文化機関(ユネスコ)との対立が生じている。クレムリンはユネスコの世界遺産に指定されており、巨大な銅像は「悪影響を及ぼす」というのがユネスコの見解だ。計画通りに建立が強行された場合、クレムリンの世界遺産指定が取り消される可能性もある。

 キエフ公国は現在のウクライナの首都キエフを基盤に13世紀まで存在し、ロシア人など東スラブ諸民族にとっての国家発祥地。ウラジーミル聖公は989年ごろにビザンツ帝国から正教を受容し、国力の向上に大きな役割を果たしたとされる。死去から1千年にあたった昨年、ウクライナとの対立を深めたロシアの親政権派団体から銅像建立の計画が持ち上がり、プーチン露大統領も賛同した。

 ウラジーミル像は150年以上も前からキエフに存在するが、ロシアはその向こうを張り、より大きな銅像を計画。歴史的人物の“所有権”を誇示し、愛国心高揚につなげる狙いだとみられる。ウラジーミル聖公が、ロシアの併合したウクライナ南部クリミア半島で洗礼を受けたとされることも銅像運動の熱を高めた。

 ただ、巨大な銅像の建立地については当初から波乱続きだ。市当局がモスクワ市街を望む高台での建立を発表したところ、景観や地盤の問題から抗議の声が上がり、計画は延期に。インターネット投票を経てクレムリン近くとされたが、ここも「世界遺産の隣接地帯」として建築が制限されていることが判明した。露当局とユネスコは、銅像の高さを8メートル程度に縮小する案を軸に協議している。

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