インド都市近郊に「人食いトラ」 保護が脅かす人間生活

 その2日前には、すぐ近くのチャンゲリ村でサトウキビの収穫をしていた男性、ラジブ・シン・ビショノイさん(30)が被害に遭った。一緒にいた父親のラグナットさん(70)が叫び声を聞いて振り返ると、トラが息子の背中に覆いかぶさっていた。ラグナットさんがサトウキビを手に懸命に追い払うとトラは姿を消したが、ラジブさんはトラの前足の一撃を受けて死亡していた。

 マダンさんとラグナットさん一家は、祖父や父親の代から村に住んでいるが、2人とも「人がトラに襲われたという話は聞いたことがない」という。

■移動距離は80キロ

 インド森林保護当局のボニク・チャンドラ・ブラマさんによれば、残された足跡から8人を襲ったのは1頭のメスと推定される。約80キロ北にあるウッタラカンド州のコルベット・トラ保護区周辺から、身を潜められるサトウキビ畑を伝って都市近郊まで南下したとみられる。理由は不明だが、人間を食べるためではなく、本来の生息地に戻れなくなったためのようだ。

 「通常、メスは別のトラとの縄張り争いで生息域から追い出されることはあまりない。しかし、子供を抱えていれば、子供がオスに捕食される恐れがあるため、保護区を離れた可能性がある」。ブラマさんはそう指摘する。

アクセスランキング

もっと見る

ピックアップ