先場所Vの照ノ富士「一番に集中」 正代破り星を五分に戻す

 16日に両国国技館で行われた大相撲秋場所4日目で、先場所優勝の照ノ富士が正代に勝った。

 勝ちを誇った表情は「どうだ」と言わんばかりだった。照ノ富士が三役以上で唯一全勝だった正代を攻め切った。5年ぶりに賜杯を抱いた先場所は敗れた相手だった。「リベンジというより、今日の一番に集中してやっただけ」。静かに、淡々と振り返った。

 闘争心むき出しだった。立ち合い。狙ったまわしは取れなかった。間髪入れず突き押しに変更すると、激しく相手の喉元を押し、土俵際へ追い込んだ。いったん中央へ押し戻されると右を差し、体を密着させて再び寄った。最後はのけ反る正代を力強く押し出した。

 2連敗発進から星を五分に戻した。敗戦後は取材を断る力士が多い中、連日丁寧に対応してきた。気持ちの浮き沈みが少ない。両膝の負傷や病気で、一時は序二段まで番付を落とした。どん底からはい上がった芯の強さを感じさせる。

 場所前はコロナ禍で外出できず、筋肉の鍛錬に時間を割いた。朝稽古、昼寝、筋トレの毎日。「この筋肉がちょっと足りないな、とか。動ける筋肉にすることを意識している」。プロテインなども効率よく摂取して体を仕上げてきた。

 大関に昇進した5年前は若さと勢いがあった。現在は両膝が万全ではない。上半身の筋肉を磨いて力をつけることで、下半身に負担をかけない相撲を目指そうと工夫を重ねている。

 上位はもたついている。連覇を諦めるのは早い。「明日からも一日一番できることをやる」。落ち着き払った声が実に頼もしい。(浜田慎太郎)

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