稀勢の里の命脈をつないだ序盤の二番、それでもくすぶる進退問題

【スポーツ異聞】

 大相撲秋場所(9月23日千秋楽、東京・両国国技館)に進退を懸けて臨んだ横綱稀勢の里(32)が、現役続行へ及第点となる10勝を挙げた。劣勢からの逆転も目立った綱渡りの15日間に、完全復活を待ち望むファンは熱狂。しかし、内容自体は横綱相撲とはほど遠く、進退問題は九州場所(11月11日初日、福岡市・福岡国際センター)以降もくすぶり続ける。

 8場所連続休場明けの15日間を振り返ると、2日目の貴景勝戦と3日目の豊山戦でみせた起死回生の逆転劇が土俵人生をつないだといえる。貴景勝にはいなされてバランスを崩し、俵に足をかけながら突き落とす。豊山戦も防戦一方になりながら、前日同様に俵を背負っての突き落としでしのいだ。

 九分九厘、敗戦を覚悟したであろう二番を落としていれば3日目までに1勝2敗で、即引退に追い込まれてもおかしくなかった。仮に4日目以降に土俵へ上がれていたとしても、のし掛かる重圧は計り知れないほどに増していた。現役続行への最低ラインとみられた皆勤を果たせたかは極めて微妙だった。

 一方、最後まで勝負を諦めない姿は闘志が萎えていない証でもあった。必死に土俵を務める横綱の姿に満員御礼の場内は沸き、7場所連続休場を経験している貴乃花親方(元横綱で秋場所後に退職)は勝ち越しに王手をかけた9日目の栃ノ心戦後、「苦境を乗り越えようとしている姿がお客さんの胸を打つ」と賛辞を惜しまなかった。

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