稀勢の里、休むたびに高まる重圧

 「本人も休場せざるを得ないと分かっていた。もっと稽古をして、ファンの方に喜んでもらえる相撲を取ってほしい」。稀勢の里の休場が決まったこの日、師匠の田子ノ浦親方(元幕内隆の鶴)は言葉を絞り出した。

 本調子とはほど遠かった。3日の稽古総見は3勝5敗。総見後は元横綱で相撲解説者の北の富士勝昭氏に「全然よくなっていない」との指摘を受けた。8日の稽古では、前頭琴奨菊と6勝10敗に終わり、芝田山親方(元横綱大乃国)に「出たら何勝という段階じゃない」と酷評された。

 早くから横綱候補として期待を集め、昨年初場所後に最高位に就いた稀勢の里には独特の存在感があり、その人気は幅広く根強い。期限を定めずに、体調が回復してからの復帰を求める声も大きい。

 ただ、横綱として皆勤したのは1場所だけ。同じく7場所連続休場の経験がある貴乃花は、優勝22回を誇る「平成の大横綱」。その実績には大きな差があり、復帰へのプレッシャーは高まる。

 尾車親方(元大関琴風)は8日の稽古後、「半年後に万全になるわけでもない。どこかで出てこないと」と注文を付け、横綱審議委員会の北村正任委員長はこの日、「覚悟を持って次場所に備えてほしい」とコメントした。

 日本出身力士として19年ぶりに横綱の地位にたどり着いた稀勢の里。風向きが変わる中、7月の名古屋場所に向け、どこまで復調できるか。(奥山次郎)

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