【スポーツ異聞】WBCがなかったらどうなった!? 侍ジャパンの爪跡が色濃く出た2017年ペナントレース

 2017年シーズンのプロ野球は佳境を迎えつつあり、セ・リーグが広島の37年ぶりの連覇、パ・リーグはソフトバンクが2年ぶり18度目のリーグ優勝(1リーグ時代を含めると20度目)を決めた。

 ペナントレースは終盤で残る興味は、クライマックスシリーズ(CS)争いと、個人タイトルを残すのみとなったが、両リーグのシーズンを振り返ると、3月の国別対抗戦、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の激戦が色濃くペナントレースに爪跡を残すことになった。

 まず言えるのは、野手よりも投手陣がWBCの影響をもろに受けたこと。そのため、主力投手を派遣したチームが不利に働いたことだ。繰り返しになるが、WBCの公認球は日本のボールよりも一回り大きく、滑りやすいため、投手陣は一様に扱いに戸惑った。

 それを踏まえた上で、今年のペナントレースを振り返ってみたい。

 まずは、セ・リーグ。広島が独走で優勝を飾ったが、投手陣は侍ジャパンに1人も選ばれなかった。昨年、16勝をマークした野村祐輔(28)が落選。その野村以上に、薮田和樹(25)が14勝と稼ぎ頭になり、岡田明丈(23)、大瀬良大地(26)らが台頭、打者はともかく、投手に限ればWBCの影響は全くなかった、といっていい。

 阪神は侍ジャパンのメンバーに選ばれた藤浪晋太郎(23)は2軍と1軍を行ったり来たりの不本意なシーズンになった。WBCではさほど投げていないが、繊細なタイプなので、日本代表が重圧になったかもしれない。藤浪が仮に10勝近くしていれば、広島をもっと追い上げられたかもしれない。

 巨人の投手からは菅野智之(27)のみが選出された。菅野は絶対的な能力の高さで、影響を受けなかったのかもしれないが、影響を大きく受けたのは捕手の小林誠司(28)の方だったろう。

 WBC期間中、打ちまくった反動からか、ペナントレースでは打撃不振に陥り、打率も2割を上回ったり、下回ったり。本塁打も、わずか1本にとどまっている。

 DeNAからは、投手ゼロ。中日からも岡田俊哉(25)1人だけで、この2チームの影響はさほどなかったかもしれない。むしろ、影響をモロに受けたのが最下位に終わったヤクルトだったか。侍に選ばれた秋吉亮(28)の不調が響いたのは確か。抑えを失っては苦しい。因果関係は分からないが、2年連続トリプルスリー(同一年の打率3割、30本塁打、30盗塁)の離れ業を演じた山田哲人(25)も今年は、いずれの成績も大幅ダウン。影響があったと見るべきだろう。

 パ・リーグに目を移すと、投手では千賀滉大(24)と武田翔太(24)が侍ジャパンに選ばれたソフトバンク。2年ぶりの優勝を飾ったものの、武田は14勝した昨年を大きく下回ることになりそうだ。

 千賀は昨年を上回る13勝を挙げているが、春には背中の張りで出場選手登録を外れたこともある。それでも、独走でリーグ制覇できたのは東浜巨(27)ら圧倒的な投手層の厚さがあったからに他ならない。

 西武は菊池雄星(26)がWBCの日本代表に選ばれなかったのが、結果的に良かったかもしれない。15勝(6敗)でチームを躍進に導いた。牧田和久(32)は中継ぎで昨年と同じような成績をマークした。

 楽天の則本昂大(26)は、WBCでの投球がパッとしなかったことで、奮起したのかもしれない。連続も、松井裕樹(21)は自信をつけたのか、昨年以上の成績を残している。この2人はプラスに出たといえるだろう。

 昨年のリーグ1位から5位へと大きく順位を落とした日本ハム。投打の要、大谷翔平(23)が出遅れたことが大きいが、これは直接、WBCとは関係がない。無論、WBCへの出場を焦り、キャンプで無理した可能性は否定できない。むしろ、中継ぎで抜群の安定感を誇った宮西尚生(32)はホールド数、防御率を大きく落としたし、増井浩俊(33)も昨季の10勝からほぼ半減した。

 悲劇的だったのは最下位に沈んだロッテ。エース石川歩(29)。9月18日の楽天戦で完封ペースの好投を続けたが、九回に4失点し、サヨナラ負けを喫した。一時、不調で2軍に落とされたほど。3勝11敗と大きく負け越し、チームも低迷したまま上昇できなかった。

 まさに悲喜こもごも。「たら」「れば」を挙げればきりがないが、もし、WBCがなければ、違ったシーズンになっていたかもしれない。(成績は9月20日現在)

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