【争点・大阪都構想】庁舎分散「間借り」に懸念、初期費用は大幅に削減

 「初期コストは約241億円。前回の約600億円より大きく抑えた」。松井一郎・大阪市長(大阪維新の会代表)が前回の住民投票(平成27年5月)で市民に諮った都構想の制度設計と比べ、「バージョンアップ」した点として強調するのが特別区移行にかかる初期費用の大幅削減だ。

 5年前、必要と見込まれた初期費用は約600億円。反対派は「高すぎる」「その分を住民サービスに回すべきだ」などと批判し、格好の攻撃材料になった。推進派は「コストではなく、必要な投資だ」と主張するが、財政調整など複雑な制度論に比べ、有権者にとってコストの数字は分かりやすく、インパクトが大きい。推進派はこの“弱点”を克服するため2度目の挑戦となる今回、既存庁舎を活用することで初期コストを大幅に抑制。アピールにつなげようと躍起だ。

 だが、この庁舎整備のあり方もまた、新たな争点として浮上している。

 協定書(設計図)では淀川▽北▽中央▽天王寺-の4特別区すべての区で本庁舎を新設しないと明記。初期費用約241億円のうち、庁舎整備経費は約46億円に抑えた。残るコストの大半は、大幅な削減が難しいシステム改修経費などが占める。

 コストの圧縮は、昨年の大阪府知事・市長のダブル選で維新が圧勝したことを受け、反対から推進に転じた公明党の強い要望も反映した形だ。

 だが、各特別区が担う事務範囲は中核市並みと幅広いため、現在の各区役所より職員は増員。特別区本庁舎は、北区の本庁舎となる現在の大阪市役所(中之島庁舎)以外では執務スペースが不足する。対処法としてひねり出された策が、「特別区の枠を超えて」既存庁舎を活用する方針だ。結果、中央区は区内の「アジア太平洋トレードセンター(ATC)」で賄うが、淀川区と天王寺区の2区は本来の本庁勤務の4~7割にあたる計1460人が、北区の特別区本庁舎に「間借り」する計画となった。

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