広がる日米同盟、インド太平洋まで地理的範囲を拡大 対中国牽制も念頭

 アジア歴訪中のトランプ米大統領が安倍晋三首相の提唱した「自由で開かれたインド太平洋戦略」を共有する姿勢を示し、日米同盟は新たな段階に入った。日米同盟の地理的範囲は冷戦時代初期の「極東」から徐々に広がり、インド洋と太平洋をまたぐ地域にまで拡大した。日米はインド洋でプレゼンスを強化する中国を念頭に、米軍が自由に利用できる港湾施設の確保、地域大国インドとの協力強化などに取り組む。(杉本康士、大橋拓史)

 安倍首相が昨年8月に提唱したインド太平洋戦略は、河野太郎外相らが米側に共有を呼びかけていた。これに米側が応じ始めたのは今年10月中旬。ティラーソン米国務長官が講演で、自由で開かれたインド太平洋の重要性を強調した。

 「勝手に使って悪かった」

 「いいんだ。どんどん使ってくれ」

 今月上旬、トランプ氏に同行して来日したティラーソン氏が戦略の「借用」をわびると、河野氏はこう歓迎した。

 もともと日米同盟は地理的範囲を「極東」に限定していた。昭和27年発効の旧日米安全保障条約では、在日米軍の目的を「極東における国際の平和と安全」とし、政府は極東の範囲をフィリピン以北から韓国や台湾などと位置づけていた。

 だが、39年にベトナム戦争が本格化すると、見直しを迫られる。極東を「フィリピン以北」とした定義に照らせば、在日米軍が活動できないためだ。佐藤栄作内閣は40年にベトナムを「極東周辺」とし、米軍による現地での戦闘について「極東の平和と安全に影響を持つ。安保体制の枠内の行動だ」(当時の椎名悦三郎外相)と説明した。

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