トランプ氏来日 拉致問題局面打開へ期待と不安交錯

 トランプ米大統領が家族会メンバーらと面会したことは北朝鮮に向けた強いメッセージとなった。拉致問題に怒り、解決への熱意を示したトランプ氏が膠着する局面を打開することへの期待は高まる。

 平成14年の日朝首脳会談で北朝鮮側が拉致を認め、被害者5人が帰国して以降、拉致問題はほとんど進展していない。家族は老い、病に直面し、肉親との再会を果たすことなく亡くなった家族もいる。それでも残された家族らはわが子やきょうだいを取り戻すため、必死に活動を続ける。

 今年9月、横田めぐみさんの弟、拓也さん(49)らが訪米。トランプ氏側近のポッティンジャー国家安全保障会議アジア上級部長と面会した際、めぐみさんと家族が撮影した写真を見せて解決を訴え、共感を得た。トランプ氏はその話に強い関心を示し、拉致問題でも北朝鮮を強く批判する国連演説を引き出した。

 その一方で、家族らには不安もよぎる。めぐみさんの母、早紀江さんは平成18年、米首都ワシントンのホワイトハウスでジョージ・W・ブッシュ大統領(当時)と面会した。北朝鮮を「悪の枢軸」と名指しするなど厳しい姿勢で知られたブッシュ氏は家族会の活動を「誇りに思う」と解決への協力を語っていたが、核開発問題などで北朝鮮側が譲歩すると、米国も制裁を緩めた。

 核・ミサイル問題と切り離され、拉致問題が「置き去り」にされる懸念を、家族らが解消できない理由がそこにある。

 早紀江さんは「日本の未来のためにも必ず被害者を救って」と訴える。家族会代表の飯塚繁雄さんも「今回の面会をお祭り騒ぎで終わらせず、全力で解決に取り組んでほしい」とくぎを刺す。日本の主体的な取り組みを求める声だ。(中村昌史)

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