拉致被害者救出へ、緊急ラジオ生放送検討 調査会「できることは何でもやろうということ」

 ドナルド・トランプ米政権の圧力が強まる中、北朝鮮の最高人民会議(国会)が11日に開かれた。北朝鮮では今月、重要な政治日程が続き、さらなる軍事挑発に踏み切る可能性もあるが、拉致問題を調べている「特定失踪者問題調査会」は、北朝鮮向けラジオの緊急生放送実施に向けた検討を始めた。朝鮮半島有事が発生した際、拉致被害者に避難場所を伝えることなどが目的だ。

 11日は、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長が第1書記に就任して5年の節目にあたる。今後は、15日に金日成(キム・イルソン)主席の生誕105年、25日に朝鮮人民軍の創建85年を迎える。重要政治日程に合わせ、北朝鮮が核実験などを強行する恐れもあるとみて、日米韓は警戒を続けている。

 こうした情勢を受けて調査会は北朝鮮向けラジオ放送「しおかぜ」による緊急放送の準備を進めている。現在は政府認定拉致被害者や拉致の可能性を排除できない特定失踪者の氏名を読み上げたり、北朝鮮関連のニュースを流したりしているが、緊急放送では拉致被害者に避難場所や最新の北朝鮮情勢を伝える。

 調査会によると、すでに茨城県にある送信施設側と協議を実施した。ただ、NHKが施設の独占使用権を持っているといい、今後はNHKに緊急放送実施の許可を求めていく方針だ。さらに、24時間放送も検討しているため、必要となる免許取得に向け、総務省に協力を要請する。

 調査会の荒木和博代表は「いつどうなるか分からない状況に近づいている。米国が武力行使に踏み切らなくても、北朝鮮で何かが起こる可能性がある。できることは何でもやろうということだ」と話す。

 10日に開かれた自民党の北朝鮮による拉致問題対策本部の会合では、拉致被害者全員の帰国実現に向けた提言を策定し、近く安倍晋三首相に提出することになった。その中には、北朝鮮向け短波放送など情報発信手段の充実に向け、財政措置や国際連携を含めた支援強化が盛り込まれた。

 日に日に緊迫度を増す朝鮮半島情勢。緊急放送が流れる日も近いのかもしれない。

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