原発避難者集団訴訟 東電経営にさらなる重荷

 東京電力福島第1原発事故の避難者らによる集団訴訟で17日、国や東電の過失責任が認められ、事故処理費用の膨張にあえぐ東電にさらなる重荷が加わる恐れが出てきた。東芝が米国事業で巨額損失を計上するなど原発事業のリスクは一民間企業には支え切れないレベルに肥大化しており、政府が前面に出なければ維持できなくなりかねない。

 「今回は賠償額が小さいが…今後はどうなるか分からない」。東電幹部はそう不安を募らせる。17日の判決では15億円の請求に対し3855万円の賠償を命じたが、集団訴訟は全国でまだ約30件あり、同様の判決が続けばより多額の賠償を迫られる可能性がある。

 経済産業省の見積もりでは、原発事故の賠償費用は避難生活の長期化で当初予想の5兆4千億円から7兆9千億円まで拡大する見込み。判決が確定すれば一段と上積みされる。

 原発政策は国が企画・立案し、民間の電力会社に運営を委ねる「国策民営」で進めてきた。しかし、事故後に各地で強化された安全規制や地元住民の反対などで、原発事業のリスクは増大。東芝が米原発建設で7千億円超の損失を見込むのも環境変化が背景にある。

 資源が少ない日本では原子力は引き続き重要なエネルギー源。だが、原発が企業の存続すら危うくするなか、政府が責任を負う姿勢を鮮明にしなければ技術や人材の維持が難しくなる懸念がある。政府に東電と同等の過失責任を認めた今回の判決はそうした危機的な現状に一石を投じている。(田辺裕晶)

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