金正男氏殺害 政府「拉致問題に前向きの可能性も」「毒殺、古典的な方法で防ぎにくい」

 北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長の異母兄、金正男氏の殺害情報に日本政府も重大な関心を寄せている。15日には警察や外務省など関係省庁の局長級で構成する合同情報会議(議長・杉田和博官房副長官)を首相官邸で臨時開催。北朝鮮国内の情勢や日朝関係に及ぼす影響などの分析に全力を挙げている。

 菅義偉官房長官は同日の記者会見で「関係国と連携しながら情報収集・分析を行っている」と説明。会議の内容については「事柄の性質上、控えたい」とした。また、「現時点ではわが国の安全保障に直接影響があるような特異な事象は確認していない」と述べた。政府関係者も「彼は金正恩政権に全く影響力を持たない人物だ」と述べた。

 一方、外務省幹部は「(正恩氏には)正男氏が担ぎ出されるという警戒心があったのだろうが、担ぎ出す人がいなくなったからクーデターが起こる可能性は低くなったのでは」と指摘。防衛省幹部は「異母兄を除いて安心した正恩氏がどういう行動に出るか予測不能だ。直近でも弾道ミサイルを発射しているだけに油断はできない」と警戒する。

 正男氏の死亡を受け、北朝鮮に対する国際社会からの視線が厳しくなるとの見方も広がっている。政府関係者は「とりわけ正男氏を庇護していたとされる中国と北朝鮮との関係は悪化するだろう。だが、北朝鮮が経済的に困窮すれば、拉致問題をめぐる日朝交渉に前向きな姿勢に転じる可能性もある」と分析する。

 毒殺という手口にも注目が集まる。政府は2020年の東京五輪・パラリンピックを控えテロ対策を強化しているが、警察幹部は「あまり想定していなかったが、古典的な方法なだけに防ぎにくいのかもしれない」と懸念を募らせる。 

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