トランプ政権は軍事衝突覚悟で、中国海上軍事基地封鎖「南シナ海版キューバ危機」に踏み切れるか

【野口裕之の軍事情勢】

 長目のネクタイを垂らした米国のドナルド・トランプ大統領が、先の尖った竹の枝で巨大なパンダをつっついている。

 こんな政治漫画とともに、英紙フィナンシャル・タイムズ(17日付)は、米国のトランプ政権が、中国と衝突し軍事紛争を誘発する可能性が高まっているとの現状分析を紹介した。著名なコラムニストの手による記事は、南シナ海に人工礁を造成し、軍事基地化を猛進する中国と米国の間で南シナ海版《キューバ・ミサイル危機の舞台が整う》と不気味な警告をしている。

 小欄も否定はしないが、かといって断言するだけの情報に乏しい。お陰様で521回目を迎えた小欄は過去、「予断を許さない」という常套句を何度も使ってきたが、「変数の多い」安全保障の世界で、一定の自信はあるものの、万が一、分析がはずれるリスクを回避する逃げ口上だった、と告白しておく。

 しかし、トランプ氏の安全保障政策は「全てが変数」。トランプ氏自身、安全保障戦略を描けているのか否かすら判然としない。安全保障観の有無を、観測・分析の起点としなければならないのだ。

 まさか、「トランプ占い」の結果を、読者の皆様にお届けするワケにもいかない。バラク・オバマ前大統領は「口先介入」を連発し、《アジア太平洋回帰戦略=リバランス》も腰砕けで、中国を増長させ、レッドラインを超す軍事膨張や国際法無視、少数民族の虐殺…と、やりたい放題を許した。

 一方、トランプ氏は敵性の外国・組織に対し激烈な「口撃」を続行中だ。確かに、中国に向き合う姿勢はオバマ政権とは比較にならぬほど強い。ただ、「口撃」が「攻撃」へと移るのか、単なる貿易・関税摩擦解消へのブラフ→ディール(取引)なのかを見極めるには、安全保障や経済を担当する実務者の政治任用が出そろい、分析の中間報告が上がるまで、待たせられるかもしれない。当然、安全保障を担うホワイトハウスの補佐官や政府の長官級の発言も、歴代米政権以上に格段に重要となる。

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