安倍首相施政方針演説・全文(1)はじめに

 一 はじめに

(未来へ挑戦する国会)

 開国か、攘夷(じょうい)か。150年前の日本は、その方針すら決められませんでした。終わらない議論、曖昧な結論、そして責任の回避。滅び行く徳川幕府を見て、小栗上野介(こうずけのすけ)は、こう嘆きました。

 「一言以て 国を亡ぼすべきもの ありや、

 どうかなろう と云う一言、

 これなり 幕府が滅亡したるは この一言なり」

 国民から負託を受けた私たち国会議員は、「どうにかなる」ではいけません。自分たちの手で「どうにかする」。現実を直視し、解決策を示し、そして実行する。その大きな責任があります。

 経済成長、少子高齢化、厳しさを増す安全保障環境。この国会に求められていることは、こうした懸案に真正面から「挑戦」する。答えを出すことであります。批判だけに明け暮れ、対案を示さず、後は「どうにかなる」。そういう態度は、国民に対して誠に無責任であります。ぜひとも、具体的な政策をぶつけあい、建設的な議論を行おうではありませんか。

 私たち自由民主党と公明党の連立与党は、決して逃げません。安定した政治基盤の下、そして、この3年間の大きな実績の上に、いかなる困難な課題にも、果敢に「挑戦」してまいります。

 (世界経済の新しい成長軌道への挑戦)

 世界経済の不透明感が増しています。これまで力強く成長を牽(けん)引してきた新興国経済に弱さが見られます。

 21世紀に入って15年。安い労働力、緩い環境規制、「より安く」生産できる地を求め、新興国への投資が拡大しました。工業化は人々を豊かにし、新興国に大きなマーケットを生み出しました。

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