何かあってからでは遅い…陸自の邦人救出訓練、海外での危機の即応体制へ急ピッチ

 陸上自衛隊が邦人救出訓練により、海外での危機に即応できる体制を急ピッチで構築していることが明らかになった。これまで手付かずだった救出任務に道を開く安全保障関連法が整備された以上、何かあってから準備するのでは遅く、訓練の積み重ねで隊員の能力と任務の実効性を高めておくことは当然の責務だ。

 平成25年1月のアルジェリア人質事件や、27年1月のイスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」による殺害脅迫事件のように海外で邦人がテロなどに巻き込まれる危険性は高まっている。8年にはペルー日本大使公邸占拠事件が起きており、再び在外公館がテロ組織に奪われる恐れもある。

 陸自は在外公館に集まっている邦人を助け出し、空港に輸送する任務から救出訓練に着手した。安保法で権限が拡大された武器使用について、訓練で最も重きを置いていることは11月の初訓練が象徴している。

 進路を阻む群衆を前にした部隊は、まず警告として上空に小銃を発射し、それでも従わなければ群衆近くの地面に向けて撃ち、隊員や邦人の身に危険が及べば危害射撃も辞さない-。

 訓練はこうした手順を確認しながら慎重に進められた。防衛省幹部は「小銃による任務遂行型の武器使用と威嚇用装備を組み合わせることで、群衆を排除することに一定程度のメドは立ちつつある」と指摘する。

 武器使用権限の拡大を受けた一連の訓練は、国連平和維持活動(PKO)などで海外に派遣された隊員が、非政府組織(NGO)職員や他国軍部隊を救援する「駆け付け警護」にも応用できる。

 訓練の中心は陸自中央即応集団傘下の中央即応連隊と国際活動教育隊だ。同教育隊は訓練で得た教訓とノウハウを蓄積し、教育訓練に生かす役割を担うが、教訓とノウハウは武器使用の手順などを定める「部隊行動基準」の見直しに反映させることも急務だ。(半沢尚久)

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