狂犬病注射7割止まり 年々低下、愛知で14年ぶり国内発症

 年1回の実施が義務付けられた狂犬病予防注射の接種率が、犬の登録総数の7割にとどまっていることが24日、厚生労働省への取材で分かった。行政に飼い犬としての届け出のない未登録犬を加味すると、接種率は実質4割程度との見方もある。愛知県では今月、来日後に狂犬病を発症した男性が死亡。国内では14年ぶりの発症だった。発症後の致死率がほぼ100%の怖い病気だが、国内では撲滅したとされ、危機意識はいまひとつ。専門家は「飼い主は自覚を持ってほしい」と話す。(桑村朋、土屋宏剛)

ワクチンで防げるが…

 今月13日、愛知県豊橋市の病院で外国籍の30代男性が死亡した。市によると男性は2月、フィリピンから来日。5月に足首や腰の痛み、水を怖がるなどの症状を訴えていた。昨年9月ごろ、フィリピンで犬に左足首をかまれ、感染した可能性があるという。

 狂犬病はウイルス感染した犬にかまれるなどして発症する感染症だ。新型コロナウイルスが飛沫(ひまつ)や接触で感染するのに対し、人から人への感染は通常ないとされる。

 潜伏期間は通常1~3カ月、長ければ1年以上のケースもある。「感染部が脳に近いかどうかで潜伏期間が変わる」と厚労省の担当者。愛知で死亡した男性の場合、受傷から発症まで約9カ月あったが、この間病院を受診するなどはしなかったという。

 狂犬病は、受傷したとしても適切にワクチンを接種すれば発症は防げる。しかし発症後の効果的な治療法はなく、その場合の致死率はほぼ100%に至る。

今年はコロナ影響も

 国内での流行のピークは昭和25年。犬で867件、人で54件の発症があった。国は同年、狂犬病予防法を制定し、飼い犬の登録や年1回の予防注射を義務化。32年には狂犬病は国内から撲滅させたとする。

 しかし、楽観できないデータもある。厚労省によると、平成30年度に全市区町村に届け出のあった犬約622万6千頭のうち、予防注射を受けたのは約444万1千頭。5年度ごろには接種率99%以上だったのに7割ほどに低下した。狂犬病への危機意識の低下が理由とみられる。

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