譲位による代替わり…「先例に」「問題残る」 天皇陛下60歳

 即位と新時代の幕開けの祝賀ムードが続く中、天皇陛下が60歳の誕生日を迎えられた。即位から約10カ月、陛下は上皇さまが負担軽減のため取りやめられた一部祭祀(さいし)や行事のお言葉も復活させるなど、堅実に務めを果たされている。これらを利点ととらえ、譲位による代替わりを「今後の先例に」とする意見がある一方、懸念の声も残る。

 上皇さまのご即位のときは、即位を祝う一般参賀とパレード「祝賀御列(おんれつ)の儀」が行われたのは昭和天皇の喪が明けた後の平成2年11月だった。一方、陛下の場合、即位3日後の令和元年5月4日に一般参賀、11月10日にパレードが行われ、それぞれ約14万人、約12万人が祝福した。即位年に関連行事が行われたことで、新たな御代とご即位を同時に祝う祝賀の相乗効果が生まれた。

 陛下は即位後、多忙な日々を送られる。ジョギングなどで健康管理に努められているが、側近は「喪儀と即位行事が同時進行していたら天皇、皇后両陛下のご体力的にも厳しいものになっただろう」と振り返る。

 歴代天皇の即位時の年齢を見ると、明治天皇が14歳、大正天皇が32歳、昭和天皇が25歳。55歳で即位された上皇さまを含め、59歳でのご即位は近代では最高齢となる。上皇さまに脳貧血などのご症状が顕在化したことも踏まえ、宮内庁幹部の一人は「陛下は健康面に問題がないが、59歳は一般なら退職を間近に控えられた年齢。スムーズな代替わりという点ではギリギリだったのでは」と話す。宮内庁の山本信一郎前長官は昨年12月の退任会見で、今回の譲位による代替わりについて「今後の先例となりうる」との見方を示した。

 一方、平成29年6月に成立した特例法では譲位の恒久制度化は見送った。麗澤大の八木秀次(ひでつぐ)教授は、上皇さまのご意向が公となったことで譲位を認める世論が醸成されたプロセスに問題が残ると指摘。「皇位継承権者が限られる中、短期間の在位で同様の譲位が続けば皇位の不安定化は避けられない。特例法は譲位を認めない法体系と世論を足して2で割ったもの。先例化は無理がある」と話した。

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