炊飯器は5分で廃棄 家庭から出る粗大ゴミの処分もスマホで楽々

 家庭から出る粗大ゴミの回収で、インターネットを利用した申し込みを受け付ける自治体が増えている。スマートフォンやタブレット端末の普及で、24時間手軽に申し込めるメリットを生かしており、スマホ1台で申し込みから手数料の支払いまで「ワンストップ」で完結するサービスも登場。行政側も業務の効率化やコスト削減が見込めるとしている。(藤原由梨)

 ネット経由の粗大ゴミ回収は多くの自治体で、住民がメールで住所や捨てたいゴミ、収集日を送信。スーパーなどで売られている手数料券や処理券を添付し、自宅前など利用者が指定した場所にゴミを捨てる形式を取っている。

 大阪市は今年3月、従来の電話受け付けに加え、ネットでの対応を始めた。20ある政令市の中では16番目の導入と後発組だが、ネット上で選択できるゴミ品目は400件にのぼる。

 たとえばアイロン台だけでも、素材と大きさにより4つの選択肢がある。利用者がゴミの画像を添付し、回収が可能かどうか判断してもらうことも可能だ。

 また、今回初めて競争入札で電話受け付けとネットシステム運営の一括契約を実施し、電話オペレーターの削減などで年間3600万円の経費削減を見込んでいる。

 ネット受け付けの出だしは好調で、開始から6月までの4カ月間、受付数約22万6千件のうち、ネット経由は約10万8千件と47・7%を占めた。市環境局の担当者は「ネット利用は導入10年で3割を目指していたので、予想以上の数字。24時間対応などが好調の理由では」と話す。

 昨年11月にスタートした神戸市も、今年3月までの受付数約7万6千件のうち、ネット経由は約1万5千件と2割を超えた。受付数も昨年4~5月の2万8790件から今年の同時期は3万4782件と、6千件近く伸びている。

 さらに新しい取り組みを行うのは福岡市。5月から無料通信アプリ「LINE(ライン)」を活用し、簡単なスマホの操作で粗大ゴミ収集を申し込めるサービスを全国で初めて本格稼働。7月からはスマホ決済・送金サービス「LINE Pay(ペイ)」で、ごみ処理手数料を支払える実証実験も開始した。

 一方、政令市でも4市はネット申し込みを受け付けていない。年間約21万件の粗大ゴミ処理を行う京都市は、電話対応のみ。台風の直後など、1日に1300件もの申し込みが殺到し、コールセンターの電話が鳴りやまない日もある。しかし「電話の方が、より丁寧な対応ができる」(担当者)と、当面はネット導入を予定していないとする。

 ネット申し込みを受け付けたある自治体の担当者は、ネット申請がさらに浸透すればコスト削減は可能としながら、回収できないゴミや事業ゴミを勝手に申し込まれるなどのデメリットもあると説明。「自治体ごとに人口やゴミ処理施設の能力、ゴミの分別体系は異なっており、きめ細かな対応が求められるのは変わらない」と話した。

 記者が体験

 転勤に伴い、私が大阪市に転入したのは1月末。引っ越しの際に置けなくなった本棚は、電話で回収のやり取りをするのが正直おっくうで、友人に引き取ってもらった。しかし今夏、7年前に買った炊飯器の内釜がダメになった。使えない家電を譲ることはできない。すると市がインターネットでの粗大ゴミ回収を3月に始めたことを知った。

 これは便利だと7月30日にスマートフォンで申請してみた。仮登録のためのメールを送り、返信されたメールのURL申請フォームに沿って氏名や住所を本登録。捨てたいゴミの一覧品目を検索すると、炊飯器は200円で廃棄できるようだ。廃棄場所は、スマホの画面に示された私の住む集合住宅付近の地図で、出したい場所を指すだけ。収集日は最も早い8月13日を指定した。

 この間、わずか5分ほど。間もなく市から申し込み完了のメールが届き、受け付け番号とパスワードが記されていた。キャンセルの際などに必要になるという。12日には「明日、ごみ収集日となっております」と注意喚起のメールも届いた。

 コンビニで手数料シールを買って炊飯器に貼り、指定した場所に13日午前9時までに置く。仕事を終え帰宅すると、無事回収されていた。スマホから入力するだけで、電話がつながらないストレスもない快適な粗大ゴミ廃棄だった。

 藤原由梨(ふじはら・ゆり) 平成13年の入社以降、引っ越しは関西を中心に9回重ねてきた。転居のたびに粗大ゴミは出る。岡山市などインターネット回収ができる都市に住みながら今回までその利便性を活用しなかったIT音痴…。

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