「無国籍」フィリピン残留日系2世、新たに10人確認

 戦前にフィリピンへ渡った日本人移民のもとに生まれた「残留2世」が無国籍状態になっている問題で、民間の支援団体が今年4~7月にフィリピン西部のパラワン州で調査した結果、新たに10人の残留2世の存在が確認されたことが分かった。都市部を中心に確認されていた無国籍の残留2世は今年3月時点で1069人に上るが、調査の及んでいない地域にも未把握の2世が多数いる可能性が浮上した。

 残留2世の日本国籍取得などの支援を行っているNPO法人「フィリピン日系人リーガルサポートセンター(PNLSC)」によると、調査は各地の日系人会が窓口となり情報を収集。PNLSCが本格的な身元調査や日本国籍取得に必要な証拠の収集や手続きを行っている。

 フィリピンで日系人会が設立され始めたのは昭和末期ごろから。首都マニラや北部ルソン島のバギオ、南部ミンダナオ島のダバオなどにできた日系人会を通じて調査が進められてきた。パラワン州があるパラワン島では昨年末にようやく日系人会が設立され、PNLSCが現地調査を実施していた。

 外務省の調査によると、今年3月時点で把握されているフィリピン残留2世は3810人。このうち1723人が生存しているとされるが、父親の身元が判明するなどして日本国籍が取得できたのは654人にとどまっている。

 PNLSCによると、フィリピンは7千余りの島々からなるため、本格的な調査ができていない地域がまだ残っており、こうした2世が今後も見つかる可能性は高い。担当者は「戦後74年が経過し、2世は高齢化している。迅速に国籍取得できるよう、日本政府による公的な支援が不可欠だ」と話している。

 フィリピン残留2世の無国籍問題 戦前にフィリピンへ渡った日本人移民の子供がフィリピン国籍も日本国籍もない状態に陥っている問題。日本人移民の父親が戦時中に死亡したり、捕虜となり日本に強制送還されたりしたため、妻や2世が取り残された。2世は戦後、反日感情から逃れるためにフィリピン風の名前を名乗ったり証明書類を廃棄したりしており、日本人の子であることの証明が難しいとされる。

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