1日スプーン1杯の「アマニ油」でアレルギー予防の可能性

食と健康 ホントの話

 ひと昔前までは、ダイエット・健康の敵と考えられてきた食用油。現在では、体内で作られない必須脂肪酸(オメガ3・オメガ6脂肪酸)を意識してバランス良く摂ることが推奨されている。

 とくに良いと言われるのが、オメガ3系脂肪酸。魚の油に多く含まれるEPAやDHA、そして、亜麻仁油やエゴマ油に多く含まれるα(アルファ)リノレン酸だ。

 オメガ3脂肪酸の健康効果については、悪玉コレステロールや中性脂肪の低減、抗炎症効果などによる動脈硬化抑制や生活習慣病リスクの低下、肥満抑制や脳の老化予防効果などが有名。さらに近年注目されのが、アレルギー抑制効果だ。

 順天堂大学の研究グループは2018年に、オメガ3脂肪酸の食事での摂取がアレルギー性結膜炎(花粉症)を改善するメカニズムの解明に成功したと発表。また、国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所、ワクチン・アジュバント研究センターの國澤純センター長らは同年、さらにはそれに先立つ2015年に、アマニ油を摂取した後に体内で増加する、抗アレルギー性物質の1種を解明し、皮膚と腸管のアレルギーの抑制に働くと発表した。

 同研究グループは、卵アレルギーの下痢のモデルマウスを使い、通常のエサに用いられる大豆油4%を含むエサで飼育した群と、アマニ油4%を含むエサで飼育した群を比較。後者がアレルギー性下痢の発症を抑制することがわかった。

 アマニ油などに多く含まれるαリノレン酸は、体内でEPA、DHAに変換される。最近わかってきたのは、EPAやDHAはさらに体内の酵素によっていろいろな代謝物ができてくること、そしてその代謝物の1つとして、同実験で「17、18-EpETE」というものが非常に増えてきていることを確認した。

 「そこでさらに私たちは、すべてのマウスを大豆の油で飼育して、その後にこのEpETEを投与しました。そうすると、何もしないとマウスは下痢を発症しますが、化学合成したEpETEを投与すると、アマニ油のときと同じように下痢の発症が抑制できたのです。さらに最近の私たちの研究から、同代謝物は食物アレルギーだけではなく、アレルギー性の接触皮膚炎も抑制することがわかってきました」

 國澤センター長は、この実験から、アマニ油から変換されたEPAの代謝物は、アレルギーの予防はもちろん、発症した後に治療的に投与しても効果がある可能性を確認。「予防だけではなく、治癒薬にもつながるのではないかと期待しているところです」

 次のことも研究で確認している。

 〈アレルゲン(抗原)が体内で認識されると、マスト細胞からアレルギー反応を引き起こす物質が放出されるが、アマニ油の作用によって放出が抑制される〉

 〈アマニ油に多く含まれるαリノレン酸の量を、アマニ油を与えたマウスの腸管で測定すると、αリノレン酸が非常にたくさんたまっている。つまり、食べた油そのままの脂肪酸の割合が体に出現〉

 〈腸管のどの部位にどんな脂肪酸が蓄積しているのかを解析すると、免疫細胞がたくさんたまっているところにαリノレン酸が多く蓄積していることを確認し、免疫系に強く影響していると考えられる〉

 オメガ3脂肪酸の摂り方は、EPAやDHAは生の青魚やサプリメントで。アマニ油やエゴマ油は火を通さずに、1日スプーン1杯(約5グラム)程度を摂るとよいそうだ。(医療ジャーナリスト 石井悦子)

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