クレカ不要のゆうちょPay QRコード決済“入門”には適するが…

 「PayPay」で2度にわたり“100億円キャンペーン”を実施したことで、にわかに存在感を増したモバイル決済。様々なサービスが乱立する中、ゆうちょ銀行の「ゆうちょPay」が8日にスタートした。ゆうちょ銀行は口座数約1億2000万という盤石な顧客基盤を持つが、“実弾”が飛び交う状況でどれだけ利用者を増やせるかは不透明だ。

 「支払いは、ゆうちょPayでお願いします」

 9日夜、東京・池袋のヤマダ電機のレジで店員に告げると、スマートフォンアプリでQRコードを表示するように言われた。ゆうちょPayでの決済はレジの設備によって、客がQRコードを出して店員が読み取る方式と、店員がQRコードを出して客が読み取る方式とに分かれる。訪れたレジは前者だったようだ。

 QRコードを表示したスマホ画面に、店員がバーコードリーダーを近づけるだけで決済は完了。サービス開始時にありがちなエラーを懸念して身構えていたが、拍子抜けするほどあっさりと終わった。こんなに簡単なら利用者も少なくないだろうと思って尋ねたが、店員は「私が知る限り、このレジでゆうちょPayを使ったのはお客様が初めてです」。

 サービス開始の翌日だ。これだけの情報で出足が鈍いなどと判断する事はできないが、日本郵政グループの信頼性をもってしても、ゆうちょPayが苦戦することは容易に予想できる。訪れたヤマダ電機のレジ周辺には、ゆうちょPayが使えることを示す貼り紙の隣に「LINE Payならポイント付与」などと書かれていた。“便利でお得”の金看板を掲げてシェア拡大を狙うモバイル決済のライバルたちと比較すれば、ゆうちょPayは“お得”の部分で出遅れているのだ。

 ゆうちょPayも“丸腰”で参入したわけではない。先着100万人に500円をプレゼントするキャンペーンを展開しており、ゆうちょ銀行の広報担当者は「(10日昼の時点で)定員に達したという話は聞いていない。500円は後日送られるので、すぐに入金されていなくても安心してほしい」と話している。自社の経済圏と結びついているLINE Payや楽天ペイのように、使うほどポイント還元などの恩恵が受けられる仕組みはないものの、キャンペーンや8月以降に割引クーポンを発行する対策で、なんとか“お得さ”を出したい考えだ。

 ゆうちょPayが強みにするのは、銀行口座と直結したサービスであることだという。「登録と利用にクレジットカードが必要ない利便性を生かして利用者を増やしたい」(広報担当者)。チャージも、店頭利用時の手数料も必要ない。通帳には、支払った額の隣に即時振替サービスを利用したことを示す「RT」が記され、アプリでは利用履歴を確認できるようになっている。よく分からないから、とQRコード決済を敬遠している人でも安心して使えるだろう。

 利用できる店舗はヤマダ電機やドラッグストアのウェルシアなど全国の約1万店。コンビニエンスストアでは6月にミニストップで使えるようになるが、その他の大手チェーンでは未定だという。他のモバイル決済サービスと同様に利用できる店舗の拡大が課題だ。

 総合すると、使いやすい入門者用のモバイル決済サービスと言えそうなゆうちょPay。「ナントカPay」を体験してみたい人や、キャッシュレス決済の選択肢を増やしたい学生などにはマッチするが、使い続ければ隣の芝生が青く見えることになるかもしれない。そのときにユーザーを引き止められるかどうかが、ゆうちょPayにとって本当の勝負になるだろう。

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