「タトゥーと温泉」広がる波紋… 外国人客が大挙するGWはトラブル必至!? 紀行作家・飯塚玲児氏がリポート

 「入れ墨・タトゥーお断り」の温泉や入浴施設での表記をめぐり議論が巻き起こっている。暴力団関係者の排除とは別に、観光地のインバウンド需要の高まりとともに、海外の研究者から是非を問う声が上がっているのだ。元旅行読売編集長で紀行作家の飯塚玲児氏がリポートする。

 都内で開かれた「温泉タトゥー問題」に関する国際シンポジウム(3月30日)の内容が波紋を広げている。同シンポのメーンテーマは「イレズミ・タトゥーと多文化共生-『温泉タトゥー問題』への取り組みを知る」。

 第一部では、英エセックス大学上級講師で英タトゥー美術史の第一人者、マット・ロダー氏をはじめとする研究者が、芸術や哲学などの側面からタトゥー・イレズミに関する独自の考察を発表。

 マット氏は、19世紀後半のジャポニズムの流行を背景に、英国初の商業・文化的タトゥーマーケットが形成されたこと、そこには日本のイレズミ文化の影響が大きく、「西洋の現代タトゥー産業形成すべても、日本のイレズミの伝統にかかっている」と主張。美術史の側面からも英米人が日本のイレズミに高い関心を示して来たことを力説した。

 第二部では「温泉タトゥー問題の検討」をテーマに、筆者も「温泉タトゥー問題の現状」について発表。

 現段階では各温泉地の観光協会などの積極的取り組みが少なく、各施設の判断に丸投げ状態であることを指摘し、観光庁が示した刺青を隠すシールを張る案は、全身にイレズミを入れた人にとっては現実的に無理があることや、イレズミやタトゥーがある人の入浴可否看板が脱衣所にしか設けられていない施設が多数あることなど、現状への苦言を呈した。

 さらに全国100温泉地へのアンケート結果をもとに、温泉行政関係者がこの問題に対して「他人頼みの体質」であることを非難し、もっと真摯に、継続してこの問題に取り組むべきとした。

 タトゥーのある人でも利用できる日本の温泉施設などを紹介したサイト「タトゥー・フレンドリー」を運営する川崎美穂氏は、エリア別やテーマ別などで温泉施設を検索できるサイトを紹介。「最終的にはこのようなサイトが必要なくなる日がくることを望む」と述べた。

 会場はほぼ満席で東京五輪やW杯ラグビーなどを控え、この問題への関心の高さがうかがわれた。実行委員会委員長を務めた山本芳美・都留文科大教授はこう締めくくった。

 「タトゥーと温泉に関する議論は、2016年から停滞したまま。このシンポジウムに来るような広い視点を持てる人ばかりではない。そうでない人にどう理解を得ていくかが大きな問題です」

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