強制不妊 救済に時間の壁 期限過ぎ書類廃棄の自治体多く

 旧優生保護法(昭和23~平成8年)下で障害者らに不妊手術が繰り返されていた問題で、手術人数のうち個人を特定できる資料が残るのは約2割にとどまった。産経新聞の調査に対し、手術から数十年以上が経過しており「書類の保管期限が過ぎて廃棄した」と答えた自治体も少なくない。公文書というより「歴史的史料」として保管している自治体も。厚生労働省は4月中にも全国の実態調査に乗り出すが、救済に向けた作業は難航が必至だ。(天野健作、三宅陽子)

 「すでに再調査を尽くしており、国のスキーム(調査の枠組み)ができ上がるのを待っている状態だ。千葉県児童家庭課の担当者はそう打ち明けた。同県は厚労省が把握している人数よりも多い資料を発掘した。他にもいるのではないか-。全体像の把握に努めているが、手段がないという。

 意外な発見

 国が統一した内容で調査すべきだとの声は多い。長野県は先月、新たな資料を発見した。個人情報が記載されていたのは、保健福祉事務所に当時の優生政策に関する法令や事務連絡などの文書をまとめた「例規綴(つづり)」と呼ばれる冊子で、「意外だった」(県保健・疾病対策課)。

 ただ、資料に書かれた人へ通知していいのか、悩みは深い。「当事者の不利益にならない形で、丁寧に対応したい」(同)として、個人の確認作業は国の基準が示されるまで待ちたいと説明する。

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