加計獣医学部、執念で岩盤規制突破

 政府の国家戦略特区制度を活用した学校法人「加計学園」(岡山市)の来春予定の獣医学部設置計画が10日、文部科学省の大学設置・学校法人審議会(設置審)の“ゴーサイン”を得たことで、ようやく実現する見通しとなった。政争が過熱する中で、学園側と誘致した愛媛県今治市などの執念で岩盤規制を突破した形だ。

 県と市が獣医学部設置に向け本格的に動いたのは平成19年11月。獣医学部の設置を認めない文科省告示を回避するため、地域限定で国の規制を緩和する構造改革特区に提案した。

 ただ、国の壁は厚く、26年11月までに計15回提案したが第2次安倍政権を含め門前払いの連続だった。

 潮目が変わり始めたのは、27年6月に閣議決定された「日本再興戦略改訂2015」に、国家戦略特区での年度内の獣医学部の新設検討が盛り込まれたことだった。

 文科省は難色を示したが、安倍晋三首相が議長を務める特区諮問会議は28年11月、広域的に存在しない地域に限り新設を認めると決定した。その後、かねて反対してきた日本獣医師会への配慮などから、設置数を1校に限る措置とした。

 今年1月に実施された今治市での獣医学部の運営事業者の公募で選ばれた加計学園は3月、文科省に設置を申請。文科相が最終関門である設置審に諮問したが、5月以降に逆風にさらされた。

 国家戦略特区を所管する内閣府側が文科省側に伝えたとされる早期開学に向けた「総理のご意向」と書かれた同省の記録文書が表面化すると、文科省前事務次官の前川喜平氏が「加計ありきだった」「行政がゆがめられた」などと告発、野党からの批判も激化した。

 ただ、7月の閉会中審査では、前川氏を含め首相から獣医学部の早期開学に関する指示を受けたとの証言は一切出てこず、野党の追及も空振りに終わった。

 最終関門である設置審の答申は、教育環境が整っていないとして8月に保留となったが、再提出した申請書が評価され、認可答申につながった。

アクセスランキング

もっと見る

ピックアップ