雌雄で生殖器が逆転 イグ・ノーベル賞 新種昆虫の神秘に迫る

 【びっくりサイエンス】

 日本人は今年、自然科学部門のノーベル賞で4年連続の受賞を逃したが、ユニークな科学研究などに贈られるイグ・ノーベル賞では11年連続の受賞という偉業を成し遂げた。今年の受賞研究は、雄と雌の生殖器(交尾器)の形状が逆転している驚くべき昆虫を世界で初めて発見した成果だ。

 受賞したのは吉澤和徳・北海道大准教授、上村佳孝・慶応大准教授、ブラジルとスイスの研究者の計4人。人々に笑いと驚きを与え、生命の不思議さについて考えさせた功績で生物学賞に輝いた。9月に米ハーバード大で授賞式が行われた。

 研究チームが発見したのはチャタテムシという昆虫の新種。ブラジル南東部の乾燥地帯の洞窟で1998年に見つけた。体長約3ミリのシラミに近い昆虫で、日本でも住宅の壁や木の幹に仲間が生息している。

 詳しく調べたところ、雌の生殖器は多くの動物の雄のように細長い形で伸縮が可能。雄の生殖器は、逆にくぼんだ形状をしていることが分かった。

 研究チームは交尾の様子の観察にも成功。交尾時は、雌が雄の上に乗って生殖器を挿入し、雄がくぼんだ生殖器の中から放出した精子を受け取っていた。雌の生殖器の根元には多数のとげが密生し、これで雄をがっちりと固定。交尾は40~70時間にも及ぶという。これらの成果を2014年に論文で発表した。

 多くの動物で雄の生殖器が細長い形をしているのには理由がある。雄の精子は卵よりはるかに小さく大量に作るのが容易で、雄は多くの雌と繁殖の機会を持つことが可能だ。このため交尾への積極性が高まり、挿入しやすく、精子を送り込みやすい構造に進化した。

 だが、この新種のチャタテムシは異なる。吉澤さんは「交尾時に、雄が栄養の入ったカプセルを精子とともに生殖器経由で渡すことが原因ではないか」とみている。

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