「弱者」に刃を向けた巨漢の韓国人 “人生いろいろ”な路上生活者にも尊厳がある

 「お前が謝れ!」

 唾を吐きかけられたことに謝罪を求めたホームレスの男性に男はこう激高し、カバンからナイフを取り出して男性の右胸を突き刺した。9月末、警視庁に殺人未遂容疑で逮捕された40代の韓国籍の男は「脅されたので防御した」と弁解した。だが、男は身長約180センチの巨漢。小柄な60代の男性と対峙(たいじ)した光景を想像すれば、どちらが弱者かは明らかだ。

 身勝手な狂気はしばしば、弱者に向けられる。7月には、東京都墨田区の公園でホームレスの男性=当時(70)=が30代の男に頭を殴られて殺害される事件があった。「誰でも良かった」と男は供述したが、ここでも標的となったのは高齢の路上生活者だった。

 都内には、1400人超のホームレスが暮らしているといわれる。厚生労働省が昨年10月に実施した調査によると、全国の平均年齢は61・5歳で、調査を開始した平成15年以来、初めて60歳を超えた。高齢で社会復帰が難しく、体調不良を抱える人も多いという。

 倒産、失業、離婚…彼らの“事情”はさまざまだ。望んで路上生活を選んだ人もあるだろう。それでも、誰かに尊厳や命を奪われる理由はない。特に弱い者を標的にした暴力は、必ず裁かれるべきだ。(緒方優子)

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