ノーベル賞 「幻想的感覚と世界をつなぐ深淵」を描く作家 初期作品には長崎登場

 スウェーデン・アカデミーは、文学賞授与を決めたカズオ・イシグロ氏(62)について「幻想的感覚と世界をつなぐ深淵」を描く作家だと評した。舞台にとらわれず、幻想的な筆致で普遍的な人間の感情を描く作風を称賛した。

 イシグロ氏の初期の作品には、5歳まで過ごした長崎の情景が登場する。思い出から紡ぎ出された日本の情景をイシグロ氏は「記憶と想像の奇妙な混合」と表現。物語の重要な舞台装置の役割を果たしてきた。

 作品の軸足はやがて日本を離れ、クローン技術や英国の歴史、神話など新たな題材を意欲的に取り入れる。それでも一貫していたのは、人間の社会や感情を描き出そうとしてきた点だ。文学賞受賞決定は、イシグロ氏の表現技法が「国」や「時間」を超えて、独自の新境地に達したことを裏付けたと言えそうだ。

 共に国境を越えた人気を誇る村上春樹氏(68)とは作風が近いと評される。ノーベル文学賞受賞ではイシグロ氏が、先んじる結果となった。(共同)

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