羽生氏を震えさせた孤高の大器、渡辺明竜王 藤井四段と同じ中学生で棋士になった一人

 【勝負師たちの系譜】渡辺明 

 渡辺明竜王は、1984年生まれの33歳。4年生で小学生名人、羽生棋聖・王座や藤井聡太四段らと同じ、中学生で棋士になった一人だから、やはり早熟の天才棋士だ。

 ただし棋士になってからの出世のスピードは、他の中学生棋士とはかなり違う。加藤一二三九段がC級2組からA級まで、ストレートの4年。谷川浩司九段が5年なのに対し、渡辺はC級を抜けるだけで、6年もかかっている。

 この頃の評価は「中学生棋士にしてはたいしたことがない」という人と「今はマグマがたまっている時期で、一遍に大きく噴火する」という人に分かれていた。後者の代表が、文筆家の棋士、故河口俊彦八段である。

 私の渡辺との初対局は2002年、彼がC級2組の3年目で、まだ四段の時だった。私は49歳で、A級に復帰して3年目。今振り返っても、年の割には充実していたと思う。

 将棋は横歩取りという激しい戦型に相手が誘導してきたが、今日並べてみても自分なりに完璧な指し回しで、若手を圧倒している。この時は正直、才能のきらめきを感じなかった記憶がある。

 しかしそこから4年連続で彼と当たることになると、2局目は研究の深さに感心し、3局目は大器の片鱗が見えた感じで、いずれも私は大差で敗れた。これはただ者ではないと感じたのだった。

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