「離島ツアー」で知られざる絶景を見る 観光地として活性化、政府も支援

【ビジネスの裏側】

 日本には約6850もの島があることをご存じだろうか。このうち人が暮らす「有人離島」は約420。過疎化が進む半面、手つかずの自然が残る。知られざる絶景を一目見ようと、今こうした離島への旅が増えている。観光地としての魅力をアピールして離島を活性化するため、政府が支援制度を充実。官民連携も始まった。(田村慶子)

 10年で6倍増

 阪急交通社は全国8都道府県12地域の46島でツアーを催行し、昨年の旅行客数は平成18年から約6倍に急増した。

 国内旅行の強化策として約20年前に始めた離島ツアーだが「珍しい高山植物や絶景を写真に収めたり、ブームに沸くサイクリングやハイキングを楽しんだりできる場所も豊富で、人気が高まっている」(広報担当者)と話す。

 同社は3月、公式ホームページに離島の旅を特集した「リトタビ」(http://www.hankyu-travel.com/kokunai/ritotabi/)も開設。各地へのチャーター便を用意し、利尻・礼文島(北海道)には関西国際空港-稚内空港、隠岐の島(島根県)には名古屋空港-出雲空港と現地に近い空港への便を増やすだけでなく、島への直行便も確保する。

 観光で過疎化対策

 そんな中、課題として浮上しているのが、離島の人口減少をいかに食い止めるかだ。観光の盛り上げには交通手段や宿泊施設の充実は欠かせず、居住者がいなくなればその態勢づくりは難しい。

 しかし、有人離島の人口は昭和30年のピーク時から半減。「安定した雇用の場がなく、多くの若者が卒業と同時に島を離れている」(内閣府有人国境離島政策推進室)といい、無人化の危機にある島もある。

 こうしたことを背景に離島の振興を図る「有人国境離島法」が4月に施行され、特定有人国境離島に指定された15地域71島の住民が利用する航路・航空路の運賃や起業資金に対する補助制度も始まった。

 制度には旅行商品の宣伝や販売促進費の補助も含まれている。食やアクティビティを通じ、宿泊を伴う滞在型観光を増やすのが狙い。観光客でにぎわえば受け入れ側の産業が活性化し、移住者の増加や人口流出の抑制につながると期待されている。

 無料体験ツアーも

 JTB西日本は、内閣府が実施する国境離島ツアーの調査業務を受託した。11月6~9日に対馬(長崎県)、福江島(同)、種子島(鹿児島県)の3島を、フジドリームエアラインズ(静岡市)の直行チャーター便で周遊する無料体験ツアーを実施する。

 種子島宇宙センターの見学や、福江島・鬼岳の天文台からの星空観賞などを予定。体験者50人の意見や感想をもとに、来年3月に内閣府へ報告したうえで具体的なツアーの商品化を進める方針だ。

 一方、パナソニックはJTB西日本の無料体験ツアーと連動し、特定有人国境離島の写真コンテストを開催中。入賞作品は12月下旬と来年1月中旬、同社ショールーム「パナソニックセンター大阪」(大阪市北区)などに展示される。近年、SNS(会員制交流サイト)への写真投稿が旅行需要の喚起につながっており、離島の魅力を広める狙いだ。

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