イケメンブラジル人は“ニセ戦場カメラマン” 世界の大手メディアがだまされた!

 またフォトショップを使わずとも、わざと「悪そうな顔」に見える瞬間の写真を選んで掲載すれば、その人物の印象を悪くすることができる。だが訓練を受けたフォトエディターは、ジャーナリズムまたは倫理的な問題で、そういう意図的な印象操作をしないよう細心の注意を払っている。

 スチール写真の世界にはこうした背景があるのに、今回のマルティンスのケースが見逃されたのはなぜなのか。既出のブラジル人フォトグラファー、アロノビッチ氏にそれを問うと、現在のフォトジャーナリズムの世界に起きている問題を指摘した。

 「見逃された理由の一つには、今日ではとてつもない数の写真がネット上などに掲載されることがある。Facebookだけでも毎日、3億5000万枚の写真がアップロードされている。ロイター通信は毎年、8億5000万枚の写真を配信する。それほどの数の写真がアップされるから、みんなあまり写真を注視しないようになったと、私は考えている。またメディア側にも、いるべきところにフォトエディターがいなくなっている。もはや消滅しつつある職なのです。それも、今回のようなケースが見逃される理由だと言える」

 今、世界的にもフォトエディターという仕事が軽視され、消えつつあるというのである。確かに、例えばロイター通信社で見てきた同僚の優秀なベテランのフォトエディターたちなら、マルティンスの写真を前にして、カメラのシャッターの位置の矛盾も、写真自体がフォトショップで加工されている可能性も見破っただろう。

 しかしネットが登場したことで編集を通さないような写真があふれる現在、フォトエディターという”職人”たちの仕事が「カネがかかる」「合理的ではない」という認識で、重要視されていなくなっているようだ。

 アロノビッチ氏は嘆く。「フォトエディターがいないため、訓練された眼で写真を注意深く見ることができる人はいなくなってしまっているのです」

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