たばこ業界団体などが署名活動 原則建物内禁煙に反発

 2020年の東京五輪・パラリンピックに向け、厚生労働省は今国会中に受動喫煙防止策を強化した健康増進法改正案を提出する。悪質な違反者には過料を科す罰則が盛り込まれる見通しだ。「たばこのない五輪」を推進する国際オリンピック委員会(IOC)と世界保健機関(WHO)に歩調を合わせたい厚労省だが、外食やたばこの業界団体は先進的な排気設備などを用いて日本型の分煙を進めるのが望ましいと訴え、反対する姿勢を強めて署名活動を行っている。

 改正案に向けたたたき台は、多くの人が利用する施設を原則として建物内禁煙、未成年者や患者が利用する学校や病院などをさらに厳しい敷地内禁煙とする方針を示している。飲食店などは原則建物内禁煙で、煙が漏れない喫煙室の設置は認められる。だが、中小規模の店、スナック、バーなどではスペースや費用の点から喫煙室の設置が難しいところが多く、経営者らは悪影響を危惧している。

 厚労省が昨年10月と11月に約30社・団体から意見を聞いたところ、海運、パチンコ、緩和ケアの団体からも配慮を求める意見が相次いだ。一方で焼肉の業界団体は、機会均等の考えから、喫煙室の設置を認めない「イギリス型」を支持した。医師や歯科医などの団体は建物内禁煙に賛同。一部は喫煙室の設置についても「扉の開閉時に煙や有害物質が漏れる」と強く反対し、屋内完全禁煙を訴えた。

 先月、外食産業の団体などが決起集会を都内で開き、原則として屋内を禁煙とする国のたたき台の緩和を訴え、分煙をいっそう推進する従来の方針に理解を求めた。今月に入ってからは、外食業界などで構成する全国生活衛生同業組合中央会や、たばこの生産者や販売者の団体が、一律に原則建物内禁煙を課すのではなく、業界ごとの自主的な取り組みを尊重するよう国に求める署名活動を街頭やネット上で始めた。

 塩崎恭久厚生労働相は、外食産業などが決起集会を開いた翌日の1月13日の会見で、受動喫煙防止対策を強化する法案と、これに配慮を求める各種団体の声について、「たばこのない五輪を推進する大きな流れの中で、日本を受動喫煙がない国に変えていく使命がある」と述べ、スモークフリー社会の実現に強い決意を示した。賛否が分かれる受動喫煙防止対策。どのような法案が提出されるのか、各業界が注視している。

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