「不幸な猫をなくしたい」長野に保護猫ハウス誕生 猫好き夫婦の熱意、連日大にぎわい

 飼い主に見捨てられたり、家庭の事情で飼えなくなったりした猫と、新たな飼い主との出会いの場をつくる長野市初の「保護猫ハウス」が同市県町のビルに誕生した。運営するのはNPO法人「信州猫日和(ねこびより)」。1月26日のオープンから連日、愛猫家たちが門前市をなし、人なつこくかわいらしい姿に愛護の輪が広がっている。

 信州猫日和は、「1匹でも不幸な猫をなくしたい-」と願う桜井正晴さん(46)、志津枝さん(40)夫妻が昨年7月に設立した。2人の出会いも志津枝さんが子猫を正晴さんに譲渡したことだった。1年半前の結婚を機に会社員生活に別れを告げ、長野市内でNPO法人立ち上げの準備を始めた。

 「猫は人間くさい動物で、適度な距離感で対人関係をつくるのが魅力。地域猫として住民に大事にされている猫もあるが、糞尿(ふんにょう)やごみを散らかすなどして嫌われ、徘徊(はいかい)しているうちに交通事故に遭う猫がいると思うと心が痛む」

 正晴さんはそう話す。開設にあたって退職金をつぎ込み、クラウドファンディングで昨年末、2週間で目標を上回る52万1000円を集めた。県のアドバイスを受けてSNSで支援を呼びかけ、県内ばかりか三重県や愛知県からも善意が寄せられた。

 保護猫ハウスは、1階が猫グッズを集めた店舗で、2、3階が猫とのふれあいスペースだ。現在は生後4カ月から10歳までの13匹がいる。訪れた人は気に入った猫がいれば飼育環境の審査を受け、トライアル期間を経て譲渡される。

 猫はいずれも保護された段階で去勢や避妊の手術を受けており、ワクチン接種などにより健康な状態で新しい飼い主に引き渡される。健康状態によって幅はあるが数万円単位の医療費がかかるため、その際に一部を負担してもらう。

 入場無料のふれあいスペースへの来訪者にも任意の寄付をお願いし、グッズの売り上げとともに運営費に充てる。志津枝さんは「ここが猫と人、人と人を結ぶ場になり、かわいそうな猫がいなくなることに役立てればうれしい」と語る。

 オープンから6日。連日数十人の愛猫家たちを迎えている。すでに3回目の来場だという長野市篠ノ井の相良和利さん(68)、恵子さん(67)夫妻は31日、「13年間飼っていた猫が昨年死んで寂しくてたまらない。ここに来たら意中の猫が見つかった。早く引き取りたい」と、お目当ての茶色の猫に目を細めていた。

 同市保健所によると、ピークの平成17年度は419匹の猫が保護され、飼い主がいないなどの理由で393匹が殺処分されていた。しかし21年度の要領見直し後、交通事故や病気で瀕死の状態にある猫を安楽死させる以外は殺処分を行っていない。同保健所は「保健所でも譲渡会などを行っているが、保護猫ハウスのような民間の活動が広がればうれしい」としている。

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 月曜日定休で開業時間は午前11~午後8時。問い合わせは信州猫日和(電)070・2626・7894。

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