伝統の池田炭、火絶やさず 利休も愛した北摂生産の最高級品

 ■豊能町 炭焼き教室、下草刈りで里山保全

 茶人・千利休が湯炭として愛用したとされながら、後継者不足から生産量が激減している最高級木炭「池田炭」を守ろうと、主な生産地である大阪府豊能町で地域住民らによる伝統継承の取り組みが続いている。炭に利用するクヌギを伐採して有効活用することで里山の保全にも重要な役割を担っているといい、地域の活性化にも期待がかかる。(小泉一敏)

 自然豊かな豊能町。役場から車で5分ほどの牧という集落に、炭焼きの窯がある。平成28年に新たに完成したばかりで、地域住民らも参加して設立したNPO法人シニア自然大学校「菊炭クラブ」のメンバーらがほとんどを手作りした。

 一度に300キロの炭が作れるといい、クラブの代表理事、高木一宇(かずひろ)さん(74)=兵庫県尼崎市在住=は「試行錯誤しながら良質な炭づくりを目指している」と説明する。

 クヌギを使う池田炭は木の組織に合わせて放射線状に伸びる模様がくっきりと現れることから「菊炭」とも呼ばれる。豊能町など北摂地域で主に生産され、造形美に優れるほか、火持ちが良く、香りも高いのが特長。茶道で高級品として扱われてきた。「火花が飛び散らないことから着物でも安心して所作できるのも好まれてきた」(高木さん)という。

 ただ、最盛期には北摂には200~300人の職人がいて、生産量は数百トンにもなったが、17年には職人の数が6人、生産量が約50トンに激減。現在は職人2人、生産量約30トンにまで減り、伝統の継承が課題になっていた。

 そこで、地元住民らも参加して17年にクラブをつくったり、炭焼き教室を開いたりするなど普及に努めている。メンバーは、当初は10人ほどだったが、今では、他県を含め約40人に増えたといい、高木さんは「関心の輪が少しずつ広まっている」と感じている。

 そのうえ、活動で環境への効果も出ている。クヌギは炭に使えるまでには7、8年かかるが、クラブでは1・8ヘクタールの山を9地区に分け、下草刈りなどの手入れを分担。その結果、目立たなくなっていたササユリやキンランなどの植物も増えてきたという。

 各地で里山の荒廃が問題化する中、クラブで活動する豊能町の辰野勝之さん(73)は「手を入れることで光が入り込み、明るく癒やし効果も感じる。炭焼き体験に来る子供たちも喜んでいる」と語る。

 クラブは、里山の永続的な利用も目指す。高木さんは「炭と里山、伝統文化の茶道との深いつながりを大切にし地域を発展させたい」と話している。

アクセスランキング

もっと見る

ピックアップ