【父の教え】「客をだましてもうけたらいかん」誠実に売る商人魂…メーカーズシャツ鎌倉会長・貞末良雄さん

 日本製の高品質なシャツを手頃な価格で提供するシャツメーカー「メーカーズシャツ鎌倉」。創業者で会長の貞末良雄さん(76)は、紳士服販売店を営んでいた父、慶一さんから「誠実に売る」という「商人道」を教わってきた。

 少年時代、父との思い出は少ない。「9人きょうだいの6番目でしたし、幼い頃に父と話した記憶はほとんどありません」。第二次大戦中、朝鮮半島にいた慶一さんは、戦後広島で紳士服販売店を開業。家族を養うために必死で働いていた。

 父と話すようになったのは、大学生になってからだ。千葉工業大学に進み、帰省するたびに晩酌に付き合った。「商人は士農工商の一番下。だからこそ、武士以上に高い品格と矜持(きょうじ)を持たなければいかん」。酒に酔っては、同じ言葉を繰り返した。

 もう一つ、父から聞かされた忘れられない話がある。若い頃、大阪の卸問屋で働いていた慶一さんは、上司に「売れ残りの商品を売れ」と命じられた。だが「客が欲しがらないものは売れない」と従わず、結局給料を減らされたうえに、体を壊して郷里に戻った。それでも「客をだましてもうけたらいかん」と言い切った。

 「何度聞いても飽きなかった。自慢するのも無理のない良い話だなって。父に似て、私も正義感の強い変人ですから」

 良雄さんは大学卒業後、いったんは研究者として照明機器メーカーに入社。だが25歳のとき、「貞末家は代々商人の家系。自分もやはり商人の道に進みたい」と、アイビールックで一世を風靡(ふうび)した「ヴァンヂャケット」に入り直した。

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