【デキる人の健康学】「朝食」と「学習・認知機能」との関連性

 『給食で死ぬ!!』の著者で長野県の真田町の教育委員長を務めながら学校食育改革に尽力した大塚貢先生は、学校給食に魚や地場野菜などを取り入れることにより、非行やイジメ、キレる、無気力の生徒が激減し、それまでの「荒れた学校」を本来の「人格を育てる」教育現場に復帰させることに成功した。

 生徒の食生活と学力や非行との関連性に着目し、学校給食のあり方を抜本的に見直し教育現場を改革した姿勢には心を打たれる。しかし、小児期の栄養の問題は単に学業成績や非行にとどまらず、中高年期になれば糖尿病、肥満などの生活習慣病、高齢期には認知症などの問題を引き起こしてくるという将来の医学的影響を考慮すべきであろう。

 そんな中、英国カーディフ大学のハンナ・リトルコット博士らの研究グループは、英国の100以上の小学校から抽出した9-11歳の生徒5000人を対象に朝食の量・質と学業成績や認知機能の関連性を検討した。

 その結果、朝食を食べる生徒は朝食を食べない生徒に比べて、平均以上の学業成績を達成する確率が2倍以上であることが判明した。また、5人に1人の生徒が朝食にお菓子やポテトチップスなどの不健康な食品を摂取していたが、これらの食品は学業成績に良い影響を与えていなかった。

 質に関しての調査では、朝食で血糖が上がりづらい野菜などの食品を摂取することは、認知機能、学業成績や登校率を上昇させるとの先行研究の知見が再確認された。一方で、糖質を含んだ血糖が上がりやすい食品の摂取は空間記憶の向上や女子生徒の短期記憶の向上につながっているという所見も得られている。

 リトルコット博士は朝食の質に関しては更なる研究が必要だが、朝食の必要性が再確認されたことを強調する。小児期の食習慣は高齢期まで影響を及ぼすことを考慮して、家庭での朝食と学校給食を見直す必要があるだろう。

白澤卓二

しらさわ・たくじ 1958年神奈川県生まれ。1982年千葉大学医学部卒業後、呼吸器内科に入局。1990年同大大学院医学研究科博士課程修了、医学博士。1990年より2007年まで東京都老人総合研究所病理部門研究員、同神経生理部門室長、分子老化研究グループリーダー、老化ゲノムバイオマーカー研究チームリーダー。2007年より2015年まで順天堂大学大学院医学研究科加齢制御医学講座教授。2015年より白澤抗加齢医学研究所所長。日本テレビ系「世界一受けたい授業」など多数の番組に出演中。著書は「100歳までボケない101の方法」など300冊を超える。

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