遺伝子検査ビジネス落とし穴 環境要因大きく科学的根拠に疑問の声

 唾液などから体質や病気のなりやすさなどを判定する「遺伝子検査ビジネス」が拡大している。近年はIT企業を中心に参入が相次いでおり、その数は1000近くに上るとも言われる。だが、専門家が科学的根拠を疑問視するほか、消費者に誤ったメッセージが伝わるリスクも指摘されている。厚生労働省は規制の必要性などを話し合う専門家検討会を立ち上げており、今夏にも報告書を取りまとめる。

 商業用の遺伝子検査は1万~6万円ほど。多くはウェブ上から申し込み、検査キットで採取した唾液や口内粘膜を送ると解析結果が届く仕組みだ。

 調べられるとされるのは、肥満や禿頭といった体質や、がんや生活習慣病など疾病の罹患(りかん)リスク。運動や音楽など隠れた才能の判定をうたうものもある。

 結果をもとに、適切なダイエット法を紹介されたり、サプリメント購入を勧められたり-といったことも多いようだ。

 一方、サービスをめぐっては、医学界を中心に異論が出ている。

 北里大の高田史男教授(臨床遺伝医学)によると、ビジネス分野では現在、ある特定の遺伝子内の1ないし数カ所のDNA配列の個人差を調べて体質や病気発症の可能性を予測するという検査などがそのシェアを伸ばしているという。

 だが、多くの体質や生活習慣病、がんなどの「多因子疾患」は、膨大な数の遺伝情報の個人差が集積して関与しているほか、その人の食生活や嗜好、仕事のストレスなど多数の環境要因も大きな影響を与えていると言われる。「100万人規模での個人遺伝情報の全解析など、まだ膨大な研究が必要な多因子疾患の予測をなぜ商品化することができるのか。消費者向けの遺伝子検査は現状として、十分な科学的根拠があるとは言い切れないものが多い」と高田氏は語る。

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