【デキる人の健康学】毎晩グラス1杯の赤ワインで血糖値低下

 血糖値が気になる糖尿病やメタボの患者でお酒の選択に悩んでいる人も多いと思う。アルコール自体は体内でブドウ糖に変換されないので血糖値を上昇させる直接作用はないが、肝臓内のグリコーゲンの分解を促進させるために一過性に血糖値を上昇させる間接的作用がある。

 また、お酒にはビール、日本酒、梅酒やワインなど糖質を含んだアルコール飲料と焼酎、ウイスキーやサワー類などの糖質を含まないアルコール飲料があり後者が選択されることが多い。

 しかし、糖尿病の患者には赤ワインがお勧めという意外なデータが公表され話題を呼んでいる。イスラエルのネゲブ・ベン・グリオン大学のヤフタク・ゲプナー博士らの研究チームはアルコールを控えていた224名の糖尿病患者を3群に分け、各群に毎日150mlの白ワインか赤ワインかミネラルウオーターを配給した。食事はカロリー制限を行わない地中海食を指導し、2年間の追跡調査の前後で血糖、ヘモグロビンA1c、脂質代謝の変化を検討した。

 その結果、驚くべきことに赤ワイン群にHDLコレステロールを改善し、総コレステロールを低下させる作用を見出した。しかし、この作用は白ワイン群やミネラルウオーター群では観察されなかった。

 さらに、研究チームはゆっくりアルコールを代謝する遺伝子を有する患者では、白ワイン群と赤ワイン群の両群で空腹時血糖値、ヘモグロビンA1cが低下しインスリン抵抗性が改善する傾向を認めた。

 ワイン150ml中にエタノール約17g、赤ワインには白ワインに比べて約7倍のポリフェノールと4-13倍のレスベラトロールが含まれることから、ゲプナー博士は脂質の改善効果は赤ワインに含まれるポリフェノールの作用、血糖改善効果はワインに含まれるエタノールの作用が主因であると推論している。これからは赤ワインも血糖値が気になる糖尿病患者の選択肢の1つになるだろう。

白澤卓二

しらさわ・たくじ 1958年神奈川県生まれ。1982年千葉大学医学部卒業後、呼吸器内科に入局。1990年同大大学院医学研究科博士課程修了、医学博士。1990年より2007年まで東京都老人総合研究所病理部門研究員、同神経生理部門室長、分子老化研究グループリーダー、老化ゲノムバイオマーカー研究チームリーダー。2007年より2015年まで順天堂大学大学院医学研究科加齢制御医学講座教授。2015年より白澤抗加齢医学研究所所長。日本テレビ系「世界一受けたい授業」など多数の番組に出演中。著書は「100歳までボケない101の方法」など300冊を超える。

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