【デキる人の健康学】カロリー計算より栄養価の評価が大切 油の質を見直す必要も

 これまでの基礎老化研究から動物の寿命を延長する唯一の確立された方法はカロリー制限であると報告されている。

 魚から両生類、哺乳動物に至るまで、これまでに調査された全ての動物種で摂取カロリーを70%程度に制限すると動物の個体寿命が延長すると報告されている。最近では、霊長類であるアカゲザルのカロリー制限の研究成果が複数の米国の研究所から報告され、カロリー制限により動脈硬化や糖尿病、ガンなどの加齢性疾患の発症が抑制され寿命が延伸したと報告されている。

 しかし、その後の研究で動物をカロリー制限すると炭水化物がの摂取が制限された結果、脂肪が燃焼し産生されたケトン体が寿命延伸をもたらしているとの説が提唱され注目を集めている。実際、糖質オフダイエットを実践している人たちの間では、炭水化物を制限することにより減量に成功したり耐糖能が改善され健康が増進するという認識が広まりつつある。そんな中、英国プライムリーパーク病院のアシム・マルホトラ医師らの研究チームは心血管疾患の死亡率は減らすには、カロリー計算の代わりに栄養価の計算をする方が有効だろうと警鐘を鳴らす。

 研究チームはこれまでの疫学研究を包括的にレビューし、禁煙のような単純な生活習慣の変更や魚油に含まれるオメガ3脂肪酸、オリーブオイル、ナッツ類の摂取等で短期間に心血管疾患のリスクを低下させる効果があることを強調する。これまで摂取カロリーが強調されてきたのは食品業界やダイエット産業界が体重を減らすことの重要性を過剰に強調してきた結果であり、最近の科学的証拠から食生活の評価軸を再考する必要性を主張する。本コラムでもココナッツ油の健康効果を紹介してきたが、まずは毎日摂取している油の質や食品の栄養価を見直す必要がありそうだ。

白澤卓二

しらさわ・たくじ 1958年神奈川県生まれ。1982年千葉大学医学部卒業後、呼吸器内科に入局。1990年同大大学院医学研究科博士課程修了、医学博士。1990年より2007年まで東京都老人総合研究所病理部門研究員、同神経生理部門室長、分子老化研究グループリーダー、老化ゲノムバイオマーカー研究チームリーダー。2007年より2015年まで順天堂大学大学院医学研究科加齢制御医学講座教授。2015年より白澤抗加齢医学研究所所長。日本テレビ系「世界一受けたい授業」など多数の番組に出演中。著書は「100歳までボケない101の方法」など300冊を超える。

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