マイナンバーに“性同一性障害者”の不安深刻 性別の発覚恐れ退職、自殺も…

 マイナンバーをめぐって、心と体の性が一致しない「性同一性障害(GID)」の人々の間に戸惑いが広がっている。職場への提示が必要な個人番号カードは性別が記載されており、本来の性別を知られる可能性があるからだ。中には発覚を恐れ、仕事をやめた人も。場合によっては「自殺も考える」と話す人がいるなど悩みは深刻だ。

 「どんな目で見られるか、考えると怖い…」

 千葉県に暮らすGIDの女性(45)は今年8月、約4年勤めたアルバイト先をやめた。外見と違う性別が書かれたカードを会社に提示するのは抵抗があったからだ。

 本来の性に違和感を覚えたのは小学生の頃。成長するほど戸惑いは増し、「男なのにしぐさが女っぽい」などと陰湿ないじめも受けた。だが、周囲に相談はできなかった。

 それでも、男性として生きなければと思った。高校卒業後は父の勧めで自動車整備士の専門学校へ。その後、女性と結婚して子供も授かったが、本当の自分を偽ることに限界を感じて離婚。性別適合手術を受けた。

 だが、性同一性障害特例法では手術を受けても未成年の子がいれば、戸籍の性別変更は認められていない。現在、下の子は15歳で、性別はまだ変更できない状況だ。

 これまで、職場で本来の性別を知られ、同僚から無視されたり、急に力仕事をふられたりといった嫌がらせを受けたことが何度もある。その度に職場を変えた。今は一緒に暮らす婚約者の男性がいるので、仕事をやめてもすぐに生活に窮することはないが、「支えてくれる人もなく職を失えば、生活は立ちゆかない。同じ悩みを抱える仲間には自殺を考えている友人もいる」と女性は明かす。

 「性別が書かれたマイナンバーカードを職場に見せることは、今のままでは強制カミングアウトにつながる。見られるリスクをなくしてほしい」

 行政手続きで利便性が増すといわれるマイナンバー制度。その影で不安に震える人がいる。

アクセスランキング

もっと見る

ピックアップ